宇宙航空環境医学 Vol. 58, No. 2, 132-133, 2021

ニュースレター

5.  第66回大会関連
第66回大会に参加して

澤本 尚哉

北海道エアシステム オペレーション本部

 本大会は新型コロナウイルス拡大を受けて誌上開催となりました。大変な困難の中でご尽力された,大会長の松崎先生,事務局長の道喜先生をはじめ,関係者の皆様方に心より感謝申し上げます。
 さて私こと新型コロナウイルス拡大に際し,今までの学びを生かして何かできることはないかと考えてきました。コロナ禍における航空機での移動は一般にも興味関心の高い話題です。そこで機内の空調について詳述することで,何か役に立つかもしれないと考え発表をさせて頂きました。紙面の都合ですべてではないものの,エッセンスはお伝えできたと思います。
 本文中でも述べたように,航空機のシステムは,耐空性に関する基準を満たすよう設計されています。したがって共通点は多いのですが,細部は異なっています。ヘパフィルターの有無などはその一例と言えます。航空機と言ってもプロペラ機からジェット機まで,多くのメーカーや種類があることからも想像できると思います。それら細部についてまとめることも,重要なことと考えての発表でした。
 今回のコロナ禍では航空医学に関わるその他の話題も多く提起されています。たとえば雇用不安の中,乗員のメンタル面を含むサポート体制が求められています。日本では乗員組合を中心とした有志での活動が始まろうとしているようです。あるいは運航乗務員のサージカルマスク着用もホットな話題です。有効意識時間が僅かな上空で急減圧が起きた際には一刻も早く酸素吸入を行うことが重要ですが,その意味でサージカルマスクは安全か否か。
 最後に,宇宙航空医学は職業医学の一つだと思いますが,特定の業種に特化した職業医学が,これほど突き詰められ体系化されていることは少ないと思います。見方を変えれば,対象職種の仕事を十分に理解することが求められ,容易ではないと思います。しかし本学会には研究や実務に携わる経験豊かな先輩方がたくさんおられます。学会に入会することで,色々な情報交換を行うことができ,大変貴重な機会を頂いていると感じます。今後もご指導を頂きながら,様々な活動をしていければと思っています。