宇宙航空環境医学 Vol. 58, No. 2, 120-123, 2021

開催報告

令和2年度 宇宙基地医学研究会 アンケート結果

 58名回答,2番目以降の項目は,未回答あり,また重複・類似の回答は整理した

1. 研究会の内容について

非常によかった 39
よかった 18
どちらでもない 1
つまらなかった 0
非常につまらなかった 0

2. 研究会で印象に残った点

内容 回答数 具体的内容(回答数;1名の場合は省略)
南極 29 南極との中継(12),
南極観測隊の活動状況・滞在スケジュール(5),
南極に生きるヒトの様子(4),
南極観測隊の厳しい環境,極地建設(3),
極地でのコミュニケーションの取り組みが飲み場の提供であること(月でも必要と実感),
越冬隊の方が人と長く会っていないと挨拶の仕方を忘れると言っていたこと,
講師が全員Zoom参加のため南極の遠さが感じられなかった,
南極の太陽の動画
宇宙と南極 11 南極での経験が長期宇宙滞在に役立つこと(10),
宇宙や南極での実験研究
精神心理 9 研究が被験者に負担となる(被験者の受け取り方を考慮した研究の組み方)(2),
心理的影響のレビュー(2),
宇宙や閉鎖空間での精神面のケア,
閉鎖空間が及ぼす精神的影響と,災害時との類似点,
精神ケアを受ける側からすると,精神科医が必ずしも精神心理支援がうまいわけではない,という意見,
メンタルの強い人間がメンタルの弱い人間にストレスを与えている可能性があるということ,
終了5分前に意見交換された隊員の心理精神的な話題
各演者 4 村上先生の話(2),
池田先生の発表,
各スピーカーの先生方の内容
その他 4 未病に対する対応と課題,
キャリアパスへのアドバイス,
普段なかなか聞くことのできない話を聞くことができた,
狙いが今ひとつ明確でない

3. 講師にお伝えしたいこと
 とても面白く貴重なお話をありがとうございました(2)
 現場の写真を多く提示して頂き,参考になりました。
 映画「南極料理人」では国際電話も制限があるような描写でしたが,いまは24時間自由に日本と連絡や会話が可能なのでしょうか?
 池田先生に,憧れていた南極越冬隊に落選しても情熱を失うことなく素晴らしい行動力を発揮してさまざまな成果をあげられている姿勢に感銘を受けました。
 刺激的で示唆に富む講演をありがとうございました。救急医として救助隊員に現場医療を提供する活動を行っていますが,それとも共通点があるように思いました。
 引き続き,特殊環境における影響の研究や対策が知りたい。
 今後もこのような実習の機会や,それだけでなく今回のつながりを生かした活動もできれば嬉しいです。写真もぜひ頂ければと思います。
 村上先生の実体験をもとにまとめられた,Surviveにおける焚火型とAliveにおける温泉型のマネジメント戦略はとても説得力がありました。
 講演中に必ず一度は「笑い」を取ることが推奨される。

4. 研究会の運営について,改善すべき点

内容 回答数 具体的内容(回答数;1名の場合は省略)
プログラム 7 質疑応答の時間・セッション(3),
時間配分(2),
講師間での討論時間(2)
開催案内 2 接続の案内は,もう少し早い方が良かった,
直前の連絡にも関わらず,受講を認められた
Zoom 11 zoomウェビナーはとてもスムーズで,先生方の映像も音声もとてもクリアに聞こえて快適でした(3)
誰が参加しているかが分かると良い(ウェビナーではなく,ミーティングでの開催)(3),
コロナ収束後も,Webの同時配信の継続(2),
オンラインで聴講できて有り難かった,
講師への基本的操作法の事前レクチャー,
一部講師の音声不良(雑音,声割れ等)
資料・配信 3 資料のダウンロード(2),
オンデマンド配信
ポイント 1 宇宙医学認定医のポイントを5ポイントくらいまで上げていただきたい
その他 3 今回,昭和基地に絞ったテーマはとても良かった,
今回の内容はイントロダクション的な要素が多かったように感じたので,続編としてさらにディープな内容も聞いてみたいと思いました,
開催意図を,はっきり示して欲しかった

5. 今後の宇宙基地医学研究会の活動で,取り上げてもらいたい話題

内容 回答数 具体的内容(回答数;1名の場合は省略)
宇宙 17 宇宙基地内で起きうる疾患や健康障害予防(3),
月基地での具体的な予定,対策(2),
有人月・火星探査関連(2),
低重力の長期影響解明の為の研究方法の展望(2),
Human research Roadmapを取り入れた話題,
一般の人が宇宙に行く為の条件,
新規 宇宙飛行士募集にかかわるフライトサージャンの役割,
宇宙飛行士,パイロットと医学,
宇宙医学のSDGsへの貢献,
宇宙での研究課題,
人間中心の基地構想のあり方,
宇宙空間での嫌気性菌の培養可能性
精神心理 2 隔離閉鎖環境の心理やグループダイナミクス(類似環境からの類推を含む)(3),
宇宙は国際ミッションなので,異文化の問題,
極限下での「笑い」の創出
南極 3 他国の南極医学状況(2),
極地の話
その他 5 東京湾スペースポート計画,
高山医学,
継続的な医療記録の記録とまとめ,
実際にサポートしている担当医からの臨床的な話し,
海外チームと共同で行っている研究

6. 今後の日本宇宙航空環境医学会の活動として,期待すること

内容 回答数 具体的内容(回答数;1名の場合は省略)
学会活動;宇宙 10 宇宙飛行士の実体験(特に医学系の飛行士) (2),
宇宙旅行における健康問題の研究 (2),
日本人の有人月・火星探査実現に寄与する活動,
宇宙深探査にむけた先端的トピック,
宇宙飛行士募集関連の情報提供(2),
会員からの宇宙飛行士の選出,
緒方克彦先生ご自身による自著「宇宙航空医学入門」のオンデマンド配信による解説
学会活動;その他 7 NEEMO,
村上氏の講演にある「アライブ」領域の取り組み,
海外の演者による講演,
もっと研究的な集会,
今回の研究会のようなまとまったテーマに関する講演会,
人文学的な視点も必要か,
例えば一般企業など,日常への応用なども期待したい
学会運営関連 13 オンラインを併用した研究会 (4),
施設の見学などのプログラム,
認定医更新ポイントを得られる,オンライン講演会を増やしていただきたい,
認定医講習の再開,
学会から社会への広報活動,情報発信,一般向けイベント,及び学会員の社会貢献(3),
若手の会員増と,活動支援の強化,会員との交流の場の設定等(3)