宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 68, 2020

ニュースレター

4. 第63回大会関連 (5)第64回大会に参加して
第64回大会 若手の会シンポジウムに参加させて頂いて

岡田 怜子

大阪大学医学部医学科3年

 この度は,このような場へ寄稿の機会を頂き,深く感謝申し上げます。
 私が初めて本学会に関わらせていただいたのは,一昨年の第63回大会でした。私はそこで,漠然と憧れを抱いていたにすぎない宇宙医学が大きな盛り上がりを見せていること,宇宙分野以外にも大きな可能性を秘めていることを知りました。そして,宇宙医学に惹きつけられました。
 この学会の直後に発足したのが宇宙医学に興味を持つ学生の団体であるSpace Medicine Japan Youth Communityです。今学会では,大阪医科大学鈴木優子さん,東京大学石橋拓真くんと,若手の会シンポジウムにおいて発表及びディスカッションの機会を頂きました。
 この中で私は「医学生が提案する宇宙医学分野のキャリアプラン」についてお話させていただきました。Space Medicine Japan Youth Communityは一昨年の結成以来,スタディーツアー,Facebookによる情報発信など様々な活動に取り組んでいます。今では,メンバーは60人を超える程となりました。しかし,学生を対象にアンケートを行ったところ,宇宙医学に興味を持ちながらも,宇宙医学をキャリアとして考えられない学生が多いことがわかりました。そこで,今回,私達は宇宙飛行士,研究者,フライトサージャンなどの既存のキャリアプランに加えて,広報やサイエンスコミュニケーターなどの医師としてのキャリアを両立しながら宇宙医学に関わることのできる新しいキャリアプランを提案させていただきました。また,これらのキャリアプランを実現するために,大学やJAXAなどを巻き込んだ宇宙医学の教育システムの整備が不可欠と考えました。
 しかし,こうした考えは私たち学生の視点から見た宇宙医学に過ぎません。ディスカッションでは,宇宙医学を取り巻く現状を学ばせて頂きました。宇宙医学は航空医学・生理学・公衆衛生など様々な分野と関わりを持つこと。一般的には大学の教育科目に含まれず教育の場が少なく見えるが,研究室を始めとして学ぶ場が多く存在すること。そして私たちは学ぶ場を自分から求めていかねばならないこと。何よりも,宇宙医学に貢献するためにまず研鑽を積み一人前の医師にならなければならないこと。これらの学びから,私は宇宙医学に対する自身の認識の甘さを自覚するとともに,改めて宇宙医学について深く考えさせられました。
 また,宇宙医学の広がりに圧倒させられた一昨年。昨年も先生方のご講演や懇親会でのお話を通じ,宇宙医学の新たな異なる側面を知りました。特に,医学の専門知識をある程度学び臨んだ今学会では,宇宙医学の臨床面への関わり方を具体的にイメージでき,その繋がりに宇宙医学への憧れを深めました。
 医学生として,今の私に必要なこと。それは医学に真摯に向き合い医師として自立すること,そしてその中で宇宙医学に目を向け続けることです。大学での勉強,Space Medicine Japan Youth Communityでのスタディーツアーや勉強会などを通じ,より多くの若手を巻き込み,自分自身の成長はもちろん宇宙医学界の発展に貢献したいと思っております。
 最後に貴重な機会を下さった河野先生,ご登壇頂いた石北先生,大平先生,嶋田先生,厳しくも温かいご意見を下さった先生方,学生の皆さん,お世話になった全ての方々に厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。