宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 64, 2020

ニュースレター

4. 第64回大会関連 (1)第64回大会を終えて
第64回大会を終えて

和気 秀文

順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科

 平成30年11月22日から3日間にわたり,第64回日本宇宙航空環境医学会大会が順天堂大学さくらキャンパスで開催されました。公開講座を含めますと400名近い参加者を迎え,盛会裏に幕を閉じることができました。御支援いただきました皆様方にこの場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。第64回大会では,宇宙医学に焦点をあてつつ,スポーツ健康科学部での開催ということを踏まえまして,本学会会員だけではなく運動やスポーツに関心を持つ方々にも楽しくご参加いただけるように案を練ってまいりました。ご存知のように宇宙飛行士は無重力による体力低下を防ぐために毎日2時間以上の身体トレーニングを行っています。このことから宇宙開発の発展には運動生理学や体力医学を基盤としたスポーツ健康科学の役割が極めて重要であるといっても過言ではありません(小生はそう信じております)。そこで今大会では「宇宙開発を支えるスポーツ健康科学」というテーマを掲げて,「無重力による骨格筋萎縮とその対策」や「宇宙飛行士の体力トレーニング」に関するシンポジウム等を企画し議論しました。また,スポーツ庁ならびにJAXAにご支援いただき,公開講座:「宇宙で行うスポーツ競技〜宇宙スポーツ大会を目指して〜(東京2020応援プログラム)」を開催いたしました。事前に小学生から,「宇宙で挑戦してみたい新しいスポーツ競技について考えてみよう!」を課題にイラストを募集したところ,想像力豊かな作品が377件集まり,全ての作品を会場に展示させていただきました。その中から優秀作品を10件選び,受賞者には当日ステージで元気よく発表していただきました。さすがに当学会大会で小学生が口頭発表したのは初めてのことかと察します。このあと,鈴木大地スポーツ庁長官よりビデオメッセージをいただきました。この他,宇宙ステーション内で実施可能な新しいスポーツ競技について,宇宙飛行士の向井千秋先生やオリンピック・パラリンピック選手らと一緒に議論し,大いに盛り上がりました。最後は向井先生による月面スポーツの話題で会場の興奮が冷めやらぬまま,閉幕となりました。今大会におけますユニークな取り組みを全国に幅広くご紹介することができたことを祈念しております。また,本大会を通じて,宇宙航空環境医学とスポーツ健康科学の結びつきが一層強まり,今後の宇宙開発の躍進に繋がることを期待しております。

公開講座発表者の集合写真 前列中央に向井千秋先生,右後方に筆者

小学生による発表の様子 少し緊張していましたが元気よく大きな声で発表していました