宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 60, 2020

ニュースレター

2. 各委員会だより (1)企画委員会
宇宙惑星居住科学連合はさらに拡大中です!

立花 正一

企画委員長

 前回のニュースレターで宇宙環境関連の研究をしている5つの学術団体が「連合」を結成し,これに2団体の新加盟があったことを報告しました。この科学連合はさらに拡大中で,新たに東京理科大学:スペース・コロニー研究センター,徳島大学大学院医歯薬学研究部:宇宙食品産業・栄養学研究センター,同志社大学:宇宙医科学研究センターの加盟が認められました。これで,当初の5団体に加え,宇宙人類学研究会(異色の文科系),および4つの大学所属機関が「連合」を構成することになりました。
 この「連合」には,それぞれ元気な「若手の会」を持つ団体も多く,平成30年7月には「連合若手の会」が主催して若手研究者の夏合宿が伊香保温泉で開催されました。私も本学会から運営委員として連合に参加している関係上,この合宿にも参加させていただきましたが,宇宙に情熱を燃やす若手研究者達に直に接し,大変頼もしい思いを抱きました。
 さて,ポストISS計画として米国は月の周回軌道に新たな有人宇宙開発拠点を構築するという「Gateway計画」を打ち出しました。この計画も国際協力の枠組みで考えられており,我が国も参加の方向で検討を始めたと聞いております。「連合」でもこの動向にしっかり協力・支援すべく動き出しました。1月28日に東京大学で開催予定の「将来月探査ワークショップ─HERACLES・Gatewayの活用」と題するJAXA主催のワークショップも「連合」が共催しており,新たな月面有人探査計画について我々がどのように参加し,取り組むべきかを討論する第1弾となりそうです。興味のある沢山の参加者を期待しております。
 また「連合」のメンバーである京都大学の土井教授(宇宙飛行士)のところからは,今年8月に米国アリゾナ州にある閉鎖環境施設「バイオスフィア2」(この施設では1991年から2年間にわたり科学者8人が自給自足の長期滞在を行った)を利用して,京都大学とアリゾナ大学の学生が5泊6日の模擬宇宙基地滞在を計画していることが発表されました。将来の火星有人探査の模擬体験だそうです。
 有人宇宙開発がISSで途切れることなく,月さらには火星へと新たな挑戦の場を拡大していくことを期待しております。