宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 52, 2020

ニュースレター

2. 各委員会だより (3)宇宙航空医学認定医認定委員会
平成29年度宇宙航空医学認定医認定委員会から

藤田 真敬

宇宙航空医学認定医認定委員

 宇宙航空医学の普及をめざして2004年に谷島一嘉先生等が第1回宇宙航空医学認定医講習会を開催し,以来,緒方克彦委員長,大島博委員長が引き継ぎ今回は第13回となりました。
 第11回には本講習会の講義テキスト「宇宙航空医学入門(鳳文書林出版販売,27年11月刊)」も販売されるに至り,講習の効率化も図っています。第11回までは,3月に開催しておりましたが,第12回は1月,今回,第13回は12月の開催となりました。
 平成29年12月11日,筑波宇宙センター,12日,13日は日本航空第一テクニカルセンターをお借りして,宇宙医学,航空生理学,航空医学の講義が行われました。12月17日にはJAXA金井宣茂宇宙飛行士の打ち上げ予定もあり皆さん興味津々でした。今回は15名が参加され,講義後の質問が相次ぎ,熱心な受講の雰囲気が伝わって来ました。
 講義内容は,以下の内容となっています。
 1日目:宇宙医学
 宇宙航空医学概論,宇宙飛行士の健康管理,宇宙飛行士の精神心理支援,宇宙ライフサイエンス研究,宇宙医学研究・生理的対策
 2日目:航空生理学
 航空生理学(加速,低圧),航空事故とヒューマンファクター,患者空輸,航空機と減圧症,筋肥大・筋萎縮の生理学,航空と低酸素,空間識失調と宇宙酔い
 3日目:航空医学
 サーカディアンリズムとパイロットの疲労リスク管理,客室空気性状と病気の伝染,航空機内救急患者とその対応,渡航医学からみた航空医学,航空身体検査証明とWaiver制度(審査会)

 当初は医師を対象に始まった本講習会ですが,今回より,受講資格を医師以外に広げました。3名の受講があり,全3日を受講した2名(写真:太田善也氏(歯科医師),大束類氏)に受講修了証が贈られました。
 受講者のアンケートでは,多くの方から分かりやすく,十分に理解出来たとのご意見を頂きましたが,受講者の背景の違いから,講義の一部について難しかったとの意見もありました。今後の一般の受講者の増加が期待される一方で,更なる工夫の必要性も認識されました。
 日本人宇宙飛行士の活躍,航空機による旅行の増加,民間宇宙旅行機の発展の最中で,宇宙航空環境医学の知識の普及が必要とされます。本講習会の益々の発展が期待されます。

日本宇宙航空環境医学会認定医講習会
http://jsasem.kenkyuukai.jp/special/?id=4690
(御名前,御写真の掲載に際して太田氏,大束氏のご承諾を頂き掲載しております。)