宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 50, 2020

ニュースレター

2. 各委員会だより (1)企画委員会
宇宙惑星居住科学連合は拡大してます!

立花 正一

企画委員長

 前回,宇宙環境の研究を行っている5つの学術団体が「宇宙惑星居住科学連合」というグループを結成したというご報告をしました。当初の参加団体は日本宇宙生物科学会,日本マイクログラビティ応用学会,日本宇宙放射線研究会,生態工学会,そして日本宇宙航空環境医学会の5団体でした。
 今年度はさらに2つの研究団体がメンバーとして加わりました。宇宙人類学研究会と京都大学総合宇宙ユニットです。宇宙人類学研究会は特に人文科学系の団体ですので,当連合が来るべき惑星居住の実現に向けて,自然科学の枠にとどまらずネットワークを広げようと意気込みが感じられます。
 最近のニュース報道では,日本政府が宇宙開発戦略本部の会合で,将来各国が協力して行う予定の月面有人探査に,我が国も参加できるように,来年から技術面や国際的な協調のあり方を検討していくことを盛り込んだとのことです。ポストISSの有人宇宙開発の方向性がようやく見えてきたように思われます。
 ISSの運用もますます盛んで,昨年12月にはJAXAの金井宇宙飛行士(防衛医大出身,元海上自衛隊医官)がソユーズで打ち上げられ,現在ISSでの長期滞在ミッションを続行中です。「宇宙で身長が9 cmも伸びた」というニュースを目にしました。無重力環境では関節や軟骨への加重が取り除かれ,身長が幾分伸びることは知られてますが,9 cmとは驚きです。
 このような動向の中で,我々は宇宙生命科学の専門家集団として貢献できる機会も増えてくると思われます。連合のネットワークと協力体制をますます強めつつ,活発な研究活動を展開できればと期待しております。