宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 47, 2020

ニュースレター

5. 第62回大会関連 (2)第62回大会に参加して
第62回日本宇宙航空環境医学会大会を終えて ─事務局長としての立場から─

西村 直記

愛知医科大学 医学部 生理学講座

 2016年10月13日〜15日の会期で,第62回日本宇宙航空環境医学会大会・日本宇宙生物科学会第30回大会合同大会を本講座の岩瀬 敏教授が主催した。本稿では,裏方の立場からの体験記を述べたいと思うが,一言で表すと「マジか!」の連続であった。
 9年前(第53回大会:菅屋潤壹教授)にも事務局として本学会の開催に携わっていたことから,やや高をくくっていたこともあり,本格的に学会準備に取り掛かったのは,開催まで半年を切ったGWを過ぎた頃からであったと記憶している。この時点で大きな誤算であったのは,① 大会長と副会長の田中邦彦教授(岐阜医療科学大学)を除けば,実働できるのは私と期限付の研究補助員として採用されたばかりの西田さん(本当にお世話になりました)の2名しかいないこと,② 私が学会員ではない日本宇宙生物科学会についての情報が何もないことであった「マジか!」。日本宇宙生物科学会との橋渡しは,田中先生に随分とお世話をおかけしたが,聞けば,日本宇宙生物科学会は30周年記念大会とのことで,すでに壮大な記念シンポジウムが組まれている。それに負けじと岩瀬先生が次々と特別講演やシンポジウムを企画していく…,なぜ!? 会期は3日間しかないのに…「マジか!」。
 今回は合同学会であることから,7月中旬に日本宇宙生物科学会の理事会に出席し,大会準備の進捗状況を報告する機会があった。両学会の主催者達が顔を合わして話をする最初で最後の機会であったにもかかわらず,この時点で確定しているのは,なんと「日時と会場のみ」。プログラムなどの詳細については「いま進行中です!」としか言いようがなく,さすがに焦りの色を隠せなかった。それに追い打ちをかけるように,日本宇宙生物科学会の次期(2017年)会長の先生から,ほぼ完成された状態の次期学会のポスターやプログラムなどの資料が配布された。「マジか!」と少し血の気が引いたのが思い出される。本来は逆であろうが,「よし,これを参考にして抄録集を作成しよう!」と開き直るしかなかった。その後,急いでホームページを立ち上げ,プログラムを確定させ,演題募集を行い,学会まであと2週間に迫った最後の追い込みの中,岩瀬先生は国際学会へと1週間旅立ってしまった「マジか!」。学会前日には田中先生も会場設営に来て下さり,深夜まで準備をしてなんとか開催までこぎつけた。
 本大会は合同学会であるということに加え,2名の宇宙飛行士(向井千秋先生,古川 聡先生)がご講演されたため,参加者総数が370名を超える大盛会になり,プログラムが足りなくなるという(うれしい?)誤算も生じた。しかしながら,教室員のみならず他大学や他講座の先生方,製薬会社の方々,岩瀬先生の奥様やご令嬢までもがボランティアでお手伝いに来ていただいたおかげで,『大きな』問題もなく会を終えることができた。これも岩瀬先生の人徳(ひょっとして私?)であろうが,感謝,感謝である。余談ではあるが,学会受付をしていただいたアルバイトの女性が,偶然にも向井千秋先生の親戚であったということは,一部のスタッフのみが知る事実であった。
 今回,両学会ともに初めての合同学会ということもあり,メールでのやり取りにも限界があり,苦労する事も多かったが,多くの先生方から「普段は聞けないような話が聞けてとても良い大会であった」との声を聞くことができたことが,事務局としては何よりの賛辞であった。
 思いのまま書きなぐったので,駄文であったこと,なにとぞご容赦ください。最後に,これから学会を主催される事務局の先生方へ,「これ事を事とする,乃ち其れ備え有り(書経)」。学会準備は早めに開始することをお勧めします!