宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 39, 2020

ニュースレター

4. 特別寄稿 (3)第61回大会に参加して

森  太一

国立大学法人旭川医科大学医学部医学科

 本学会初参加の私にこのような機会を与えて頂いたことに感謝いたします。私は高校時代にJAXAで開催されたサマーサイエンスキャンプに参加させていただいた時に,フライトサージャンに興味を持ち,医学部に入学しました。しかし,フライトサージャンに興味があると言うものの,フライトサージャンや宇宙医学関連の情報に出会う機会が少なく空回りした思いを感じておりました。そのような時に,ホームページでこの学会の存在を知り,参加することが出来ました。
 フライトサージャンの方や宇宙医学に関わっていらっしゃる方を間近に感じることができ,有意義な時間を過ごすことが出来ました。学生時代に現場で活躍なさっている方と交流の機会をいただけることは稀であると思います。また,このような機会に様々な方と話をさせていただいたことで,自分の夢を強く意識することが出来ました。
 日本宇宙航空環境医学会に参加する以前は,ISSに宇宙飛行士が常に滞在している現代において,宇宙へ人を送るうえでの障壁はそれほど大きくないだろうと考えていました。しかし,実際に学会に参加してお話しを伺ってみると,私が認識していた以上の問題があることに気付かされました。今回拝聴し,印象に特に残っているのが,NASAの次世代宇宙船オリオンについてです。私はISSへ人を送るのも,火星へ人を送ることも医学的には似たようなことと思っていましたが,難度が全く異なることだと認識しました。さらに,私は火星探査について医学の関わる分野は既に決定していて,そこに向けて研究などが実施されているというイメージを持っておりました。しかし実際は火星探査における問題は山積しており,医学で解決できる問題を探す段階であると知り,まだまだ未開拓な分野にとても魅力を感じました。
 今回学会に参加させていただいたことで,宇宙医学領域について様々なことを知ることが出来ました。しかし,私は課題を認識したに過ぎず何かを今出来るわけではありません。そこで,これからも日本宇宙航空環境医学会の大会には参加させて頂き,知見を養っていきたいと考えております。また,個人的に活動し興味を深めていきたいと考えております。分からないことだらけの学生ですが,一生懸命学びたいと思っておりますので,宜しくお願いいたします。