宇宙航空環境医学 Vol. 57, No. 2, 32, 2020

ニュースレター

5. 特別寄稿 (2)第60回大会に参加して

丸目 恭平

熊本大学大学院 生命科学研究部 循環器内科学

 いつも傍聴者である私にこのような発言の機会を与えて頂いて大変感謝しております。私は高校時代より宇宙飛行士・宇宙医学への興味があり医学部に入学しました。2004年より当学会の会員となり,現在は会員年数10年,医師年数4年目の循環器内科医となりました。まずは臨床力を磨くようにとのご助言を頂き,臨床一筋で日々精進しています。今はまだ直接は宇宙医学に携われておらず発表の経験もありませんが,当学会の総会に出席することは自分の夢を強く意識できる貴重な時間となっております。
 今回,第60回宇宙航空環境医学会総会に参加して感じた事は,当学会の活発化です。総会の会場自体も年々大きくなっているように思いますが,研究内容がさらに多様化し展開しているように感じます。やはり若手として特に印象的であったのは,シンポジウム「国際宇宙探査時代を想定した若手からの研究企画の提案」でした。先輩方が研究テーマを継続され,さらに深みに到達させている事に感動と頼もしさを感じました。個人的には,去年初めて傍聴し衝撃を受けた石井先生の研究が現在はNASAとの共同研究となっている事が大変刺激的であり,独自で道を切り開く力に感銘を受けました。大会会長の岩崎先生をはじめ会員の皆様の若手へのご配慮にはいつも感謝しております。
 また,毎回出席時に感じる事ですが,当学会には,人が安全に宇宙に行けるような未来を作るという共通の夢をもった会員の皆様の輝きがあります。それぞれ視点が違えども,夢を描いて邁進している方々に囲まれる事が大変心地よく感じます。そして,今回の特別講演「国際宇宙探査の方向性について」の様に現在の世界の宇宙開発の方向性,日本としての方向性を共有する事で一致団結して宇宙開発に取り組んでいることがこの学会のすばらしい所であると感じます。日本循環器学会や日本内科学会と比較するとまだまだ小さな学会なのかもしれませんが,この強い結束は宝であり,今後学会が大きくなっても,継続していければと思います。
 当学会の総会は私にとって大変貴重な存在であります。大学3年生の時に初めて第52回総会に参加して以来,多くの先生方と知り合うことができ,メンターとして私を導いて頂いております。この場を借りまして,お礼申し上げます。
 2004年の学会誌を見返しますと,当時大学生の私が,分からない略語に囲まれ悪戦苦闘している跡があります。10年前から変わる事のない宇宙への情熱で,今後は私の中から発信し,当学会に貢献できるように頑張りたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。