宇宙航空環境医学 Vol. 56, No. 4, 90, 2019

シンポジウム3

「生存」から「生活」へ 〜学生の描く,宇宙の未来像〜

石橋 拓真1,五味 篤大2,都築 則彦3,長谷川 翔紀4

1Space Medicine Japan Youth Community
2宇宙開発フォーラム実行委員会(SDF)
3宇宙と食の若手研究会
4TNL

From "Survive" To "Thrive" 〜The Future of Space through Students' Eyes〜

Takuma Ishibashi1, Atsuhiro Gomi2, Norihiko Tsudsuki3, Shoki Hasegawa4

1Space Medicine Japan Youth Community
2SPACE Development Forum Executive Committe
3Space Food Community for Young Researchers
4TNL

【概要】 「宇宙旅行の時代」が,本格的に到来しようとしています。サブオービタル飛行を目指すヴァージンギャラクティック社は2020年の商用営業開始を予定しており,宇宙ホテルの開業を目指すビゲローエアロスペース社はISSでの独自モジュールの試験を順調に続けています。地球軌道の外に目を向ければ,前澤友作氏がZOZO社長を退任し,SpaceX社の月旅行に向け本腰を入れています。宇宙旅行時代とは,国のミッションを背負い職務として赴く飛行士だけでなく,民間企業のプランを購入し娯楽として訪れる旅行者もが宇宙に滞在する時代です。それは即ち,人類が宇宙での「生存」から「生活」へとステップアップする節目でもあります。「生存」が主目的だったこれまでの有人宇宙開発ではロケットや人工衛星といった工学分野が主役でしたが,人々が「生活」を営むフェーズになれば,地球上の社会で人類を支えているあらゆる分野と宇宙との掛け合わせ(宇宙×○○)が必要になります。「誰でも宇宙に行ける時代」がテーマの第65回日本宇宙航空環境医学会若手特別セッションでは,「宇宙×○○」パネルと題し,「生活分野」の中でも特に重要な「医療」「食」そして「住まい」について活動している3つの学生コミュニティが,宇宙での生活の未来像を語ります。
【登壇団体紹介】 Space Medicine Japan Youth Community…宇宙医学に関心を持つ学生や若い世代が集い,各々の興味を深め,互いに学び合うコミュニティです。2017年の設立より,宇宙医学を学びたいという学生と,次世代に繋いでいきたいという研究者の方々を繋ぐ架け橋として,スタディツアーや講演会の実施,Facebookでの情報発信や内部での勉強会など,様々な活動を行ってきました。宇宙開発フォーラム実行委員会(SDF)…宇宙開発フォーラム実行委員会(SDF)は「宇宙開発の未来を担う人材を生み出し,つなげる」をMISSIONに掲げ,参加型シンポジウム「宇宙開発フォーラム」の企画・運営やメンバー個々の問題意識や興味関心に基づいた宇宙教育や衛星データ利活用,宇宙法模擬裁判などの各種プロジェクト活動を行っています。宇宙と食の若手研究会…私達は,世界初の宇宙食料マーケット創出を目指す「Space Food X」プログラムの発足を踏まえて立ち上がった,若手コミュニティです。栄養学や農学,社会学など様々な専攻の学生,宇宙に携わる若手が集い,月や火星の食環境を地球と同じレベルにすることをビジョンに,勉強会や事業の検討を進めています。TNL…宇宙建築学サークルTNLは「人類が宇宙に暮らす時代」の創造を志す学生が集まり,宇宙建築という未開の分野に挑戦している団体です。建築学だけに限らず,機械工学,航空宇宙工学,物理学,経済学など様々な分野を専攻している学生が,九州から北海道に至るまで全国から参加しています。