宇宙航空環境医学 Vol. 56, No. 4, 88, 2019

シンポジウム3

多様化する学生プロジェクトの今とこれから

林 誠一

聖マリアンナ医科大学医学部医学科

Students' Project Diverifying ―Present and Future―

Seiichi Hayashi

St. Marianna University School of Medicine

Space Medicine Japan Youth Communityは,宇宙医学を学びたいという学生が学ぶ機会を創出し,次世代に繋いでいきたいという研究者との架け橋として2017年に発足。以来,宇宙医学スタディツアーやFacebookでの発信など,様々な活動を行ってきた。2019年の活動は多岐に渡ったが,総括すれば,外部への発信活動の多様化と,内部での学びの機会の創出とに整理できる。外部での発信活動は,まずその媒体が多様化した。従来のFacebookでの情報発信は継続しつつ,9月には,雑誌「宇宙・医学・栄養学」の創刊号に投稿させていただいた。投稿第一号はコミュニティの紹介だったが,今後は様々な先生方へのインタビュー企画やコミュニティメンバーによる勉強会のアウトプットなど,学生ならではの企画を立て,発信していく所存だ。また,発信の対象も多様化した。5月には,G20の公式下部組織であるG20 Youth Summit 2019 Organizing Committee が主催したイベント「G20大阪サミット ユーススクランブル」に招待され,「宇宙と地球での課題の共有により,イノベーションを加速する」というテーマで政策提言を行った。各国首脳陣に対する発信を行う貴重な機会となったとともに,イベント当日の幅広い層の参加者約200人に直接声を届けることができた。6月には,同志社大学宇宙生体医工学研究プロジェクトキックオフに先立つサテライトミーテイングにて,国際的に活動を展開されている先生方に当団体の活動報告および今後の展望について発表する機会を得た。今後の活動の指針に対する貴重なご意見を頂くと共に,海外の宇宙医学プレーヤーの方々とのつながりを持つとても有意義な機会となった。他方,スタディツアーの他にも様々な学びの機会を創出し,コミュニティとしての繋がりの醸成にも努めた。2月には,サウスカロライナ大学医学部のDonna Robertson先生をお招きし,Space Medicine Lecture #1を開催した。急速に注目度の高まる宇宙での脳科学について,世界的権威からお話を頂く大変貴重な機会となった。10月には,メンバー内での論文抄読会を開始した。それぞれの興味に応じて主体的に学ぶ活動として,定期的な開催を目指している。その他にも,宇宙映画の鑑賞・解説会や,食事会などを開催し,メンバー間の親睦を深めている。