宇宙航空環境医学 Vol. 56, No. 4, 76, 2019

シンポジウム1

京都大学宇宙総合学研究ユニットの取り組み:人材育成を目指して

寺田 昌弘,山敷 庸亮,土井 隆雄

京都大学宇宙総合学研究ユニット

The activities of unit of synergetic studies for space, Kyoto University:for the promoto of human resources

Masahiro Terada, Yosuke Yamashiki, Takao Doi

Unit of Synergetic Studies for Space, Kyoto University

宇宙開発は,基礎科学や天文学,応用理工学,生命科学,医学,エネルギー科学,環境学など様々な研究分野の枠を超えて推進されている。そのため,京都大学宇宙総合学研究ユニットは,部局の枠を超えた「宇宙総合学」の構築を目指して,2008年に設立された。特に,有人宇宙活動のための総合科学教育プログラムを実施し,専門家による講義や専門実習などを取り入れ,将来の宇宙研究や宇宙開発を担う人材の育成に力を入れている。これまで様々な講義や実習を通じて,京都大学kの学生に有人宇宙活動に関する知識を習得する機会を提供している。特に実体験を通じた学習機会として合宿形式の有人宇宙学実習を過去3年間実施してきた。この実習では5泊6日で様々なタスクをチームメンバーと協力しながら実施し,チームビルディングを築いていく。今年度はこの有人宇宙学実習の発展バージョンとして,Space Camp at Biosphere 2(SCB2)を実施することとなった。アリゾナ大学が所有する準閉鎖人工生態系Biosphere 2は,人類が他惑星へ移住した際の環境設定条件などを検討するために建設された。そのため火星への移住を目指した有人宇宙キャンプとしてBiosphere 2での滞在を通じた学習から様々な有人宇宙活動に関わる知識を習得することを目的として,SCB2を実施した。SCB2では火星で第3の生態圏であるBiosphere 3を建設するという課題を課し,参加学生はSCB2での講義や実習を通じてB3建設の条件設定を行った。今回のシンポジウムでは,5名の京都大学参加者からの体験報告と今後の宇宙総合学研究ユニットの取り組みの提案を行う。