宇宙航空環境医学 Vol. 56, No. 4, 54, 2019

一般演題1

6. 成田国際空港クリニック2018年度旅客患者の検討

赤沼 雅彦,松浦 直子

日本医科大学成田国際空港クリニック

Narita International Airport Clinic 2018 Passenger Patient Review

Masahiko Akanuma, Naoko Matuura

Nippon Medical School Narita International Clinic

2018年度の外国人旅客数は,日本全体で訪日外国人旅客数が年度として3,163万人を記録し,成田空港における外国人旅客数も前年比+11%で5年連続開校以来の最高値を更新している。また,日本人旅客は前年比+5%あり約1,438万人で国際線旅客全体は約3,587万人となり2006年度以来の最高値を更新するとともに,年度として3,500万人を初めて突破しました。成田国際空港では2015年4月にLCCのための第3ターミナルが竣工し,国際線旅客は外国人旅客が増加し,2016年度2017年度2018年度で日本人国際線旅客は年3%,4%増加であるが,外国人は毎年11%増加している。また,通過客は17%,2%前年比減少しており,国内線は3%増加,2%減少となっている。日本医科大学成田国際空港クリニックは空港内診療所として365日体制で診療し,通常診療は9時から17時(日・火・水・金・土)または18時(月・木曜日)まで,救急診療を17時または18時から翌朝9時まで実施。今回当クリニックにおける2016,2017,2018年度旅客患者について比較分析した。各年度総受診者数はそれぞれ13,014名,13,455名,13,034名中,旅客3,183名(24.5%),3,272名(24.3%),3,166(24.3%)を対象とした。旅客を出発・到着にわけて外国人比率や疾患構成を分析した。 総受診者数13,034名中旅客は3,166名(24.3%)であり,2017年度に比較し総数・旅客とも僅かに減少していた。また,外国人患者は1,202名(9.2%)で前年度より僅かに増加しており,比率も前年度より増加傾向であった。新規患者が42.2%でやや増加,初診患者は33.8%で減少,再診患者比率はやや増加傾向であった。旅客を出発・到着で分けて比較すると外国人比率は出発が27.3%で到着が13.3%と出発の外国人比率が高く,昨年度との比較でもほぼ同様といえるが,到着では総数外国人比率ともやや減少した。到着旅客患者での日本人と外国人の比較では日本人旅客では感染症が41%と多いが,外国人では20%と2番目であった。日本人旅客2番目の呼吸器疾患は24%であったが,外国人では15%で3番目であった。外国人旅客ではその他が34%で最も多かった。出発旅客での日本人と外国人比較では日本人では呼吸器疾患31%,その他21%,消化器疾患17%であったが,外国人ではその他25%,呼吸器疾患23%,外傷18%であった。到着日本人旅客ではいわゆる旅行者下痢症が多いため感染症が一番多く,外国人旅客では消化管異物疑い(いわゆるボディーパッカー疑い)が多数おりその他が一番多くなったと考える。