宇宙航空環境医学 Vol. 53, No. 4, 146, 2016

ポスター発表

「宇宙生物」

7. 宇宙旅行機の閉鎖系(キャビン)環境と宇宙飛行訓練

広崎 朋史1,大貫 美鈴2,諸島 玲治1

1宇宙システム開発
2スペースフロンティアファウンデーション

サブオービタル宇宙旅行の商業運行は秒読み段階であり,非常に高額ではあるがオービタル(軌道飛行)宇宙旅行は2001年から既にスタートしている。
 宇宙旅行機には乗員だけでなく乗客が搭乗することになるため,完全に閉鎖され,与圧された安全なキャビン環境が必要になることはもちろんのこと,快適性も重視する必要がある。また,サブオービタルやオービタルでは旅行期間が異なるため,これらを実現するための生命維持機能のレベルは異なってくる。
 宇宙旅行を快適に過ごすためには飛行中のゼロGとハイGが人体に及ぼす負荷や楽しみ方をあらかじめ訓練として体験することが有効である。また, 宇宙旅行機の飛行形式やキャビン環境により与圧スーツやヘルメットなど着用の必要性が異なるが,宇宙服を着用した訓練も必要となる。ゼロG酔いや,サブオービタル機によって異なるハイGの負荷やリスクの研究は宇宙旅行を安全に快適に実施するためにも極めて重要な課題であり,訓練データなどによる研究が進められている。誰でも宇宙旅行に行けるようにするためには,機体を改良して人体への負荷軽減を図り,訓練は必要最低限としていくと共に,楽しみながら地上で宇宙を疑似体験する間に訓練も行えれば理想である。