3.　老齢ラットにおける体位変換時の体血圧変化 | Blood pressure revel in response to the postural changes of the head-up tilting in anesthetized aging rat

一般演題

「重力・水浸」

3.　老齢ラットにおける体位変換時の体血圧変化

平岩　徹也¹，西村　宗修¹，嘉山　裕介²，酒井　有理²，橋本　千穂²，山﨑　将生³

¹藤田保健衛生大学・院・保健学・生理学・学生
²同大学・医療科学部・臨床工学科・学生
³同大学・院・保健学・生理学

Blood pressure revel in response to the postural changes of the head-up tilting in anesthetized aging rats

Tetsuya Hiraiwa¹, Hironobu Nishimura¹, Yusuke Kayama², Yuri Sakai², Chiho Hashimoto², Masao Yamasaki³

¹Department of Physiology, Graduate School of Health Science, Fujita Health University, Japan
²Department of Physiology, Undergraduate School of health Science, Fujita Health University, Japan
³Department of Physiology, Graduate School of Health Science, Fujita Health University, Japan

我々はこれまでにラットで仰臥位（SP）から90° Head-up tilting（HUT）に体位変換した際の体血圧（BP），心拍数（HR）など循環因子の変化について異なる週齢群で追求してきた。今回は麻酔下老齢SDラット（ウレタン;1.0-1.5 g/kg，31-90週齢;6ヶ月齢以降）でSPから30分間のHUTを行い，再びSPへ体位を変えた後のそれらの変化を調べた。HUT前BP値は79.6±14.6 mmHg，HRが336.6±35.7 beats/minであった。HUT開始から，3.7±1.8秒後にBPは65.1±12.1 mmHgに低下し，43.7±23.4秒後には74.6±15.8 mmHgとなり安定した。その時点のHRは344.0±36.6 beats/minであった。HUT 30分経過時のBPとHRは，それぞれ70.0±17.2 mmHg，339.9±47.2 beats/minで，立ち上がり姿勢:30-min-HUTからSPへ戻すと2.6±4.0 秒でBPとHRは82.7±20.1 mmHgと340.5±46.3 beats/minに上昇し，直ちに低下して（76.8±18.7 mmHg, 340.5±46.1 beats/min at 7.7±8.6 sec）再び高い値となって安定した（79.1±16.7 mmHg, 338.5±45.6 beats/min at 28.6±14.6 sec）。これらの変動はSPになった時に静水圧勾配が小さくなり（≒0），頭側の圧は上昇し，動脈圧受容器反射が発動してBP変動が生じたとみてよい。老齢群においては，成熟群（12-18週齢）と比べてHUTによる体位変換で静水圧勾配にしたがって血圧低下し，安定値に達するまでの時間は長く，30分間のHUT中にBPは維持が悪く徐々に低下して行った。また，HUT後の変動（BP, HR）が小さく周期も短かった。HRは質的には同様の変化が見られたが量的には小さかった。これらのことより，HUT中の経時的な血圧の減少は加齢に伴い循環機能や動脈圧受容器反射の働きの低下が基盤にあると考えられる。また，HUTからSPに姿勢変換後の心拍数の増加は静脈還流量の増加を考えると低圧受容器（Bainbridge reflex等）の働きについても考えなければならない。（JSPS科研費#262506024，COI.NO）