宇宙航空環境医学 Vol. 52, No. 4, 48, 2015

一般演題

4. 顔面浸漬時の腹部大静脈面積の変化

小野寺 昇1,吉岡 哲2,斎藤 辰哉1,和田 拓真3,吉田 升4,野瀬 由佳5,松本 希6,山口 英峰7

1川崎医療福祉大学 健康体育学科
2岡山大学 スポーツ教育センター
3川崎医療福祉大学大学院 健康科学専攻
4川崎医療福祉大学大学院 健康体育学専攻
5安田女子大学
6就実短期大学 幼児教育学科
7吉備国際大学 スポーツ社会学科

Changes of cross-sectional area of abdominal vena cava during apneic facial immersion

Sho Onodera1, Akira Yoshioka2, Tatsuya Saito1, Takuma Wada3, Noboru Yoshida4, Yuka Nose5, Nozomi Matsumoto6, Hidetaka Yamaguchi7

1Department of Health and Sports Science, Kawasaki University of Medical Welfare
2Interactive Sport Education Center, Okayama University
3Graduate school of Health Science, Kawasaki University of Medical Welfare
4Graduate school of Health and Sports Science, Kawasaki University of Medical Welfare
5Department of Nutritional Sciences, Yasuda Women's University
6Department of Preschool Education, Shujitsu Junior College
7Department of Sports Social Management, Kibi International University

【目的】 顔面浸漬させた時の心拍数と腹部大静脈横断面積の変化を明らかにした。
【方法】 健康な成人男性6名とした。川崎医療福祉大学倫理委員会の承認を得て,インフォームドコンセントを実施した。測定条件は,4条件とした(座位安静条件,座位息こらえ条件,座位息こらえ前傾条件,座位前傾浸漬条件)。心拍数を胸部双極誘動法,腹部大静脈横断面積を超音波エコー法を用いて測定した。水温を36°Cとした。
【結果】 心拍数は,座位息こらえ条件において息こらえと同時に増加,10数秒後に減少に転じ,その後定常となった。腹部大静脈横断面積は,座位息こらえ時(3.52 cm2±0.23)に比べ座位前傾顔面浸漬時(4.12 cm2±0.70)に有意に増加した(p<0.05)。
【考察】 先行研究は,息こらえ時には静脈還流量が減少することを明らかにしている。このことから,顔面浸漬時には,腹部大静脈に血液を一時的に貯留するものと考えられた。