宇宙航空環境医学 Vol. 51, No. 4, 100, 2014

座長挨拶

岩�普@賢一¹，向井　千秋²，古川　聡²

¹日本大学医学部
²宇宙航空研究開発機構

Proposals from young researchers for International Space Exploration

Kenichi Iwasaki¹, Chiaki Mukai², Satoshi Furukawa²

¹Nihon University School of Medicine
²Japan Aerospace Exploration Agency

　第60回大会のテーマは「宇宙医学の推進と普及」であり，この分野を推進し普及するためには，将来を担う若手研究者らに活発に活動してもらうことが不可欠である。そこで，向井千秋宇宙飛行士がセンター長を務められている「JAXA宇宙医学研究センター」と，当学会の「宇宙航空環境医学若手の会」にも協力して頂き，若手研究者をシンポジストとした本企画を行なった。若手研究者から，将来の国際宇宙探査時代を想定した研究企画を募集し，下記の8つの研究企画の応募があった。当日は，各々に口頭発表してもらい，会場の参加者と活発な討論が行われた。さらに，宇宙滞在経験のある医師の向井千秋先生，古川聡先生の御両名に，ご講評を頂き，優秀な研究企画の提案を行った，河野史倫先生（大阪大学大学院医学系研究科·助教)，篠島亜里先生（日本大学医学部·助教）に「若手優秀研究企画賞」を授与した。
　このような企画により，当分野の次世代を担う若手医師·研究者に，モチベーションを益々高めてもらうことを目指した。また，今回のシンポジウムに提案を頂いた優れた研究企画に関しては，「宇宙航空環境医学若手の会」として，HPへの掲載や毎年の大会時企画での継続的なフォローによる広報を行い，シニア研究者や関係機関からの研究企画サポートなどに繋げていきたいと考えている。
演題一覧
　S1.　 超小型麻酔システムおよび水陸両用人工呼吸器の開発
　 　　 石北　直之（STONY（代表)，日本赤十字社青森県支部受託青森県立はまなす医療療育センター）
　S2.　 微小重力下での効率的な運動方法の開発と高齢者の筋力増強訓練
　 　　 大本　将之（久留米大学　整形外科リハビリテーション部　大学院博士課程3年）
　S3.　 ビタミンDシグナル依存性の低重力応答微生物探索と生化学的基礎研究
　 　 　石澤　通康（日本大学　医学部　助手）
　S4.　 特性保持機構の活性化による超長期宇宙滞在中の骨格筋機能低下を予防する新規理論の構築
　 　　 河野　史倫 （大阪大学大学院　医学系研究科　助教）
　S5.　 超高齢化社会医療へ繋げる月面基地における遠隔医療システムの構築
　 　　 仲佐　昭彦（株式会社塚田メディカル·リサーチ　取締役　社長付開発室　室長）
　S6.　宇宙における視神経乳頭浮腫の対応策
　 　　 篠島　亜里（日本大学医学部　助教　視覚科学系メディカルレチナ学分野）
　S7.　低重力環境下での哺乳類の発生と繁殖
　 　　 目�普@直実（佐渡総合病院　神経内科）
　S8.　 準軌道飛行の宇宙旅行〜宇宙医学をもっと身近に，もっと実用的に
　 　　 水野　光規（あいち小児保健医療総合センター　総合診療科部　集中治療科　医長）