宇宙航空環境医学 Vol. 51, No. 4, 92, 2014

認定医推奨セッションB

「一般医家に知られていない “酔い·めまい”」

座長挨拶

和田 佳郎1,藤田 真敬2,3

1奈良県立医科大学 耳鼻咽喉科
2航空自衛隊 航空医学実験隊 第 2 部
3防衛医学研究センター 異常環境衛生研究部門

Motion sickness, discomfort and dizzy which are not widely known to clinicians

Yoshiro Wada1, Masanori Fujita2,3

1Department of Otolaryngology, Nara Medical University
2Second Division, Aeromedical Laboratory, Japan Air Self-Defense Force
3Division of Environmental Medicine, National Defense Medical College Research Institute

 本学会で“酔い·めまい”と言えば,宇宙酔いや乗り物酔い,空間識失調が定番です。今回はあえてそれを外してみました。
 最初の演題は,南極越冬隊に参加した医師のお話です。その中で酔い·めまいに関連した内容を紹介していただきます。南極よもやま噺もあるとのことですのでご期待ください。次の2題は,昔から何となく知られてはいたもののよくわからず,最近になり注目を浴びるようになってきた下船酔い,地震酔いの話題です。下船酔いに関しては最新の神経メカニズムについて,地震酔いに関しては東日本大震災ごの大規模アンケート調査に基づく考察についてお話ししていただきます。最後の2題は,昔は存在しなかった3D映像による不快感,寝具やメガネなどによる酔い·めまいについてのお話です。いずれも技術やデザイン性の進歩により快適さや格好良さを目指したにもかかわらず,場合によっては思わぬ副作用を呈してしまうという例です。経験的に気づいてはいたことを,科学的,医学的見地から説明していただきます。
 今回取り上げた酔い·めまいそして不快感は,今後増加していくものと予想されます。本セッションによりいち早くその実態を知り,予防や対策を立てていくことが重要です。また,少し角度を変えて考えてみることにより,宇宙酔いや乗り物酔い,空間識失調を研究する上でヒントになれば幸いです。