宇宙航空環境医学 Vol. 51, No. 4, 86, 2014

認定医推奨セッションA

「宇宙精神心理学上の諸解題と対策」

座長挨拶

松崎 一葉1,緒方 克彦2

1筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構
2宇宙航空研究開発機構

Human Behavior and Performance Issues and Countermeasures in Space

Ichiyo Matsuzaki1, Katsuhiko Ogata2

1Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba, Occupational and Aerospace Psychiatry
2Japan Aerospace Exploration Agency

 アメリカは近未来の有人探査の目標を火星に,ロシアは月に定め,またJAXAも一定の条件を満たせば月を目指すことを想定しています。そうした深宇宙の超長期滞在においては,果てしなく遠い閉鎖環境の中での親しい人々との別離,慣れ親しんだ社会からの疎隔,自由な通信の遅延·障害による制限,異文化間コミュニティに関わるストレスなど,宇宙医学の課題の中でも,放射線被ばく管理·防護や遠隔医療と並んで,精神心理学上の問題が大きくクローズアップされることとなりました。
 本セッションにおいては,演題1:多数者間医学運用パネルの中で制定された脱同調ガイドラインの紹介と,ガイドラインの課題解決の方策として,演題2:睡眠評価に用いる遠隔医療のための脳波計の開発,演題3:宇宙探査に向けた覚醒度評価法の開発,演題4:閉鎖環境を用いたストレス評価に関わる研究をご紹介し,最後に宇宙医学運用への応用も夢ではないホットな話題,オレキシン受容体拮抗薬について筑波大学·国際統合睡眠医科学研究機構から御講演を頂きました。