宇宙航空環境医学 Vol. 51, No. 4, 79, 2014

一般演題

23. 国際宇宙ステーションにおける生命維持と環境監視

嶋宮 民安1,京田 真理1,山村 侑平2,三木 猛生2

1有人宇宙システム株式会社 有人宇宙技術部
2宇宙航空研究開発機構 宇宙飛行士運用技術部 宇宙飛行士健康管理グループ

Environmental Monitoring and Life Support on the International Space Station

Tamiyasu Shimamiya1, Mari Kyoda1, Yuhei Yamamura2, Takeo Miki2

1Japan Manned Space Systems Corporation
2Japan Aerospace Exploration Agency

 国際宇宙ステーションには生命維持,環境監視機器が搭載されており,船内圧力,酸素,二酸化炭素濃度など,生命に直結するものを含め様々なデータを各極の地上管制局が24時間体制で監視し続けている。生命維持システムには二酸化炭素除去装置(CDRA, Vozdukh),酸素発生装置(Elektron, SFOG, OGA),有害物質除去装置(BMP, TCCS)などがあり,・鴻Vアセグメント,USセグメントにてそれぞれを補完するように搭載されている。
 二酸化炭素,酸素濃度は生命に直結するため,軌道上の活動に支障がでないようUSセグメントのMajor Constituent Analyzer(MCA)等により常時監視されている。一方,軌道上の環境監視機器のみでは分析しきれない化学物質や微生物の詳細な分析ついては空気や水サンプルを地上に持ち帰り,医学運用チームに属する各極の環境管理担当(Health Environment Specialist)が分析,評価を行う。空気,飲料水,表面に含まれる微生物は軌道上で採取,簡便なコロニー計測がなされるが,詳細な種の同定は地上に持ち帰り行われる。飲料水の有機炭素含有率は軌道上で計測されるが,化学物質や微量元素の分析は同様に持ち帰り行われる。空気の揮発性有機物(VOC)についても持ち帰ることが必要である。
 ISSの主要な生命維持,環境監視システムはNASA/ロシアが維持し,データを各極で評価しているが,環境監視機器や手法については生命維持システムに比べ自律性,リアルタイム性に乏しい。次世代有人宇宙機でも長期的な飛行が想定されているが,自律的かつリアルタイムで利用できる環境監視システムが必須である。