宇宙航空環境医学 Vol. 51, No. 4, 66, 2014

一般演題

10. 長期宇宙滞在のMIG,ストレス,放射線等への対策TGCと電子負荷

高橋 周七

カルフォルニア人間科学大学院大学(米国)

Measures for Gravity Mental stress and Radioactivity in long space stay

Shushichi Takahashi

California Institute for Human science (USA)

 今回は,宇宙ステーションに於ける宇宙飛行士が長期に滞在した場合にMIG(マイクログラビティ)とストレス,放射能などの障害が問題となる。このメカニズムとT(杜仲葉),G(高麗人参),C(コラーゲン)と電子負荷による対策について述べる。
 【I. MIG対策】 a. MIGのスペースシャトルの卵の中の雛の骨のコラーゲン b. MIGのソ連の衛星に登場した日本アマガエルの皮膚のコラーゲン c. 運動拘束状態の実験動物の筋肉と骨のコラーゲン d. 遠心負荷機に搭乗した小動物の筋肉と骨のコラーゲン
 a. b. c.の実験は,いずれも重力という力の刺激が加わらないことが引き金となって,生体の構造を支える機能を持った構造タンパク質のコラーゲンの衰えが原因となって,筋肉や骨が衰えることを明らかにした。逆に遠心重力負荷の場合は,力の刺激が加わることが引き金となってコラーゲンが蘇生し,筋肉や骨が丈夫に発達することを明らかにした。
 更に,飲むだけで運動することによる力の刺激と同じ効果が起こり,居ながらにして筋肉や骨が丈夫に発達させるものはないかと考えた。当時,その発想は到底不可能と多くの人々が否定的な考えを示した。しかし,天然食材に探し求めて,孔子の「温故知新」の格言に従って,中国の最古の薬用植物の解説書「神農本草経」の薬効で堅筋骨(骨や筋肉を強くする)を持つ杜仲葉に到達した。杜仲葉の実験とは,杜仲葉を狭い生簀の一種の運動拘束状態の養殖鰻に約4週間与えると,4週間後には居ながらにして養殖物が天然物に匹敵する逞しい筋肉(肉質)に見事に改善されていた。鰻の筋肉のコラーゲンは杜仲葉を投与する前と比較すると,投与後は明らかに若いコラーゲンが多くなっていた。人での筋肉トレーニングでも,杜仲葉グループがより筋肉の増加が18%高くなり,持久力トレーニングでも17%高くなった。
 【II. ストレス対策としてGと電子負荷】 宇宙空間では,地上と大きな環境差が有り,人の長期滞在は特にストレスを受け易い。MIGでは,筋肉,骨,副腎の細胞の土台となるコラーゲンを消耗して,自律神経系,ホルモン系,免疫系という身体の恒常性を維持する三本柱もゆらぎ,心と身体にさまざまな健康に良くない症状が現れる。杜仲葉と同様に中国最古の薬用植物の解説書の神農本草経に抗ストレス薬物を探し求めて,高麗人参の「安精神」と「開心」の効果に到達した。更に,電子負荷は,副交感神経型誘導効果と宇宙線や放射線により発生する活性酸素の中和に更に有効と考えられる。これまでT(杜仲葉)とG(高麗人参)の効果について述べてきたが,世界の栄養学が無用と見做して来た。しかしコラーゲンは人年令で20才過ぎた頃より急速に訪れる老化防止には極めて有効で有る事を初めて証明した。以上,TGCの三位一体は宇宙のMIG滞在中の健康維持と対策のみならず,地上で進行している高齢化,超高齢化社会の健康と老化防止にも極めて有効と考える。参考:http://www.collagen-takahashi.jp/ → アンチエイジング I,II,III,IV,V