宇宙航空環境医学 Vol. 50, No. 4, 2013

一般演題

15. 水中倒立時の心拍数変化

吉岡 哲1,斎藤 辰哉2,和田 拓真3,松本 希4,白 優覧5,小野寺 昇6

1香川大学 医学部 公衆衛生学
2川崎医療福祉大学大学院 健康科学専攻
3川崎医療福祉大学大学院 健康体育学専攻
4就実短期大学 幼児教育学科
5広島YMCA専門学校 社会体育科
6川崎医療福祉大学 健康体育学科

Change in heart rate during handstand in water

Akira Yoshioka1, Tatsuya Saito2, Takuma Wada3, Nozomi Matsumoto4, Wooram Baik5, Sho Onodera6

1Department of Public Health, Faculty of Medicine, Kagawa University
2Graduate School of Health Science, Kawasaki University of Medical Welfare
3Graduate School of Health and Sports Science, Kawasaki University of Medical Welfare
4Department of Preschool Education, Shujitsu Junior College
5Department of Sports and Fitness, Hiroshima YMCA College
6Department of Health and Sports Science, Kawasaki University of Medical Welfare

【はじめに】倒立姿勢は,微小重力環境においてみられる姿勢変化である。そこで,微小重力の模擬環境として水中環境を用い,水中倒立時の心拍数(HR)変化を明らかにした。
 【方法】 8名の成人男性(23±3歳,172.9±6.1 cm,69.5±6.4 kg)を対象とした。測定条件は,陸上倒立条件(L条件)および水中倒立条件(W条件,水温:30°C,水深:120 cm)とした。倒立は,両手および頭部にて体を支える三点倒立とし,倒立時間は60秒間とした。W 条件は,ダイビング用のレギュレーターを用い,空気を供給した。倒立時は,衝撃緩衝材を用いて,頭部を保護した。測定項目は,HRとし,水中心電計を用いて測定した。川崎医療福祉大学倫理委員会の承認を得て,実施した。
 【結果と考察】 W条件のHRは,倒立開始後減少し,30 秒後から定常となった。一方,L条件のHRは,12秒目までわずかに減少する傾向を示したが,ほとんど変化なく推移した。仰臥位姿勢時のHRと比較して,W条件では有意な差は観察されなかったが,L条件で有意に高値を示した(P<0.05)。また倒立中のW条件のHRは,L条件よりも有意に低値を示した(P<0.05)。W条件におけるHRの減少は,顔面浸水によるDiving reflexや筋活動量が小さいこと等が複合的に関与しているものと推察する。
 【まとめ】 水中環境における三点倒立時のHRは,陸上での三点倒立時よりも低値を示すことが明らかになった。