宇宙航空環境医学 Vol. 50, No. 4, 2013

一般演題

11. 運動時の中枢性循環調節とその可塑性

和気 秀文

和歌山県立医科大学 医学部 生理学第 2 講座

Central cardiovascular regulation in response to dynamic exercise and its plasticity

Hidefumi Waki

Department of Physiology, Wakayama Medical University School of Medical Science

各種ストレスに対する循環応答の中枢性機序は現在もよくわかっていない。今回は運動というストレス因子に着目し,運動時循環反応の中枢性機序とその可塑性について,延髄孤束核(NTS)の役割を中心に調べた。その結果,(1)ラットの自発性走運動(10週間以上)は,NTSにおけるヒスタミン受容体(H1受容体)遺伝子発現に影響を及ぼすことがわかった。(2)NTSでは他のサブタイプに比べH1受容体遺伝子発現量が高く,H1受容体タンパクは神経細胞に発現していることがわかった。(3)NTSを支配するヒスタミン作動性神経は視床下部結節乳頭核からの投射であることが知られているので,麻酔下ラットの結節乳頭核を電気刺激したところ,昇圧·頻脈反応(運動時と似た循環反応)を誘発することがわかった。(4)また,NTSへのH1受容体アゴニスト微量注入も同様に,昇圧·頻脈反応を惹起した。さらに,(5)NTS内H1受容体を介した昇圧反応は,長期の運動習慣により有意に増大することが明らかとなった。以上より,運動時の循環調節には結節乳頭核─NTS系が関与していること,また当該経路の可塑性が運動時の循環調節能亢進(トレーニング効果)に寄与している可能性が示された。尚,本研究の一部は科研費 (21300253および24500793)によるものである。