宇宙航空環境医学 Vol. 49, No. 4, 80, 2012

一般演題

22.　水中ソックス着用の有無が水中歩行時の生理指標に及ぼす影響

小野寺　昇¹，斎藤　辰哉²，吉岡　哲³，高原　皓全⁴，松本　希⁵，白　優覧⁶，西村　一樹⁷，関　和俊⁸，小野　くみ子⁹，山口　英峰¹⁰

¹川崎医療福祉大学
²川崎医療福祉大学大学院
³香川大学
⁴人間総合科学大学
⁵就実短期大学
⁶広島YMCA専門学校
⁷広島工業大学
⁸流通科学大学
⁹神戸大学大学院
¹⁰吉備国際大学

Effect of subaqueous socks on human physiological parameters during aquatic walking

Sho Onodera¹, Tatsuya Saito², Akira Yoshioka³, Terumasa Takahara⁴, Nozomi Matsumoto⁵, Wooram Baik⁶, Kazuki Nishimura⁷, Kazutoshi Seki⁸, Kumiko Ono⁹, Hidetaka Yamaguchi¹⁰

¹Kawasaki University of Medical Welfare
²Graduate school, Kawasaki University of Medical Welfare
³Kagawa University
⁴University of Human Arts and Sciences
⁵Shujitsu Junior College
⁶Hiroshima YMCA College
⁷Hiroshima Institute of Technology
⁸University of Marketing and Distribution Sciences
⁹Kobe University
¹⁰Kibi International University

【はじめに】　水中歩行における姿勢および歩容の安定化を促進する目的で滑り止め機能を有するソックスを考案した（特許申請済）。本研究は，水中ソックス着用の有無が水中歩行時の生理指標に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
　【方法】　対象者は，健康な成人男性8名 （年齢21.6±2.5歳，身長172.4±7.3 cm，体重68.9±4.6 kg）であった。全ての対象者には，事前にインフォームドコンセントを実施し，研究参加への同意を得た。測定条件は，裸足条件と岡本株式会社が考案したCROSSPROを着用させた水中ソックス条件とした。両条件は，K大学温水プールにて水中歩行を実施した（水温:30°C，湿度:65%，水位:腰位）。両条件とも歩行速度·歩幅は任意とし，歩行時間は30分とした。測定項目は，歩行距離，心拍数，歩きやすさの指標（VAS)，血圧，尿中電解質および尿量とした。
　【結果と考察】　水中ソックス条件の歩きやすさは，裸足条件と比較して有意に高値を示した（p<0.05）。歩行距離，心拍数，血圧，尿中電解質および尿量は，条件間に有意な差は観察されなかった。これらのことから，新開発の水中ソックスは，裸足に近い生理指標変化の範囲内にあることを示唆する。
　【まとめ】　水中ソックス着用時の自由歩行では，主観的指標であるVASにおいて歩きやすさの有意な変化を認めたが，顕著な生理指標の変化を認めなかった。