宇宙航空環境医学 Vol. 49, No. 4, 64, 2012

一般演題

6. 抗重力筋に引き起こされるエピジェネティクスの検索

河野 史倫,大平 充宣

大阪大学 医学系研究科

Differential epigenetics are induced in slow and fast muscles

Fuminori Kawano, Yoshinobu Ohira

Graduate School of Medicine, Osaka University

成熟ラットのヒラメ筋(遅筋)および足底筋(速筋)において発現差の大きな5つの候補遺伝子を同定し,これらの遺伝子座におけるエピジェネティクスの違いを検討した。クロマチン免疫沈降法を用いて各遺伝子座におけるヒストン修飾の解析を行った。その結果,足底筋ではすべての遺伝子座のRNA転写領域内において,ヒストン3のK4me3修飾がヒラメ筋に比べ多く認められた。この修飾は転写の活性化を促すことが知られており,5つの候補遺伝子発現は速筋においてup-regulateされていると考えられる。また,候補遺伝子のうち転写を抑制性に制御するK27me3修飾を多く保有するものについて,バイサルファイトシークエンスによるDNAメチル化解析も実施した。この遺伝子のプロモーター領域はCpG islandであるがDNAメチル化は両筋種において認められず,ヒストンコードが主な転写制御機構であることが示唆された。