宇宙航空環境医学 Vol. 48, No. 4, 122, 2011
宇宙航空医学認定医セミナー |
「東日本大震災における航空医療の展開」 |
原発事故対処と被ばく医療の概要
宮崎 誠樹
防衛省 陸上幕僚監部 衛生
Response to the nuclear power plant accident and medical care for the radiation exposure
Masaki Miyazaki
Medical Department of Ground Staff Office, Japan Self-Defense Force
2011年3月11日に発災した東日本大震災は,福島第一原子力発電所にも甚大な被害をもたらした。陸上自衛隊は,大型ヘリコプター及び車両からの放水作業,東京電力Jビレッジにおける医療支援,被ばくモニタリング,避難区域における患者後送および除染,医療·食料支援,遺体捜索などを行った。任務に当たっては,放射線被ばくを専門とする医官が中心となり,福島県庁,東京電力,米国有識者と情報交換を行い,被ばく防止および被ばく管理の行動基準を定めるなど重要な役割を果たした。また,原発構内および周辺地域で活動した自衛官に対して,健康状態の把握を長期にわたり組織的に行うなど,被ばくに関する健康管理についても万全を期している。