宇宙航空環境医学 Vol. 48, No. 4, 102, 2011

公開シンポジウム-1

「社会に役立つ宇宙医学」

1. ISSの衣食住

井上 夏彦

宇宙航空研究開発機構 宇宙飛行士健康管理グループ

Habitation, clothes, and foods in the International Space Station

Natsuhiko Inoue

Astronaut Medical Operations Group, Japan Aerospace Exploration Agency

国際宇宙ステーション(ISS)では,様々に国籍の異なる3〜6人の宇宙飛行士が常時滞在して様々な実験や観測等を行っている。宇宙飛行士の暮らすISSの物理的環境は,温度や湿度,さらには酸素濃度まで細かくコントロールして人間が快適に活動できるような状態に常に保たれている。一方社会的環境としては,閉鎖·隔離,無重力,多文化といった通常の生活とは大きく異なるにも関わらず,ストレスを解消する手段が限られている厳しい環境となっている。JAXAではこのような環境で生活する宇宙飛行士を支え,パフォーマンスを最適に保つために,衣食住のさまざまな側面からの支援を行っている。本シンポジウムでは,物質的·精神的なさまざまな支援の内容と,それがどのように地上での我々の生活に関連しているかを紹介する。