宇宙航空環境医学 Vol. 48, No. 4, 99, 2011

学会シンポジウム

「日本の有人宇宙飛行の過去から将来へ」

3. JAXAの有人宇宙飛行における医学運用

松本 暁子

宇宙航空研究開発機構 宇宙飛行士健康管理グループ

Medical operations of manned spaceflight at JAXA

Akiko Matsumoto

Astronaut Medical Operations Group, Japan Aerospace Exploration Agency

国際宇宙ステーション(ISS)では,2008年より開始された日本実験棟「きぼう」の3回の組み立てミッションも終了し,日本人宇宙飛行士のISS長期滞在が次々と進行中である。2009年3〜7月に初めて若田飛行士がISSに長期滞在 (Ex. 18/19/20)したのを皮切りに,野口飛行士(Ex. 22/23, 2009年12月〜2010年6月)以降は,ソユーズ宇宙船に搭乗してISS滞在を行い,その後,古川飛行士(Ex. 28/29)が2011年6月からISSで様々な科学実験を行い,本学会直前の11月21日に無事にカザフスタン共和国に帰還したところである。今後は,2012年夏ごろより星出飛行士(Ex. 32/33が,2013年末より若田飛行士(Ex. 38/39)が,自身2回目のISS長期滞在,又,日本人として初めてのISS船長として長期ミッションに臨む予定となっている。1992年9月に毛利飛行士が初めてスペースシャトルに搭乗してから19年が経過し,その後の日本人飛行士のシャトル飛行によってJAXAは有人宇宙飛行の知識·技術·経験を蓄積してきたが,2011年7月のスペースシャトルアトランテイス号(STS-135)を最後に,スペースシャトルは退役した。現段階では,2020年までのISS運用が予定されているが,今後はロシアのソユーズによる打上·帰還となり,医学運用体制も転換期を迎えている。