宇宙航空環境医学 Vol. 48, No. 4, 59, 2011

一般演題

9. 精神身体的負荷·精神的負荷に対するバイオマーカーとしての唾液ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6),ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)量,および深睡眠時間の検討

鈴木 豪1,4,近藤 一博2,小林 伸行2,清水 邦夫3,5,立花 正一6

1陸上自衛隊 開発実験団部隊 医学実験隊
2東京慈恵会医科大学 ウイルス学講座
3自衛隊中央病院 精神科
4防衛医科大学校 精神科学講座
5防衛医科大学校 防衛医学研究センター 行動科学
6防衛医科大学校 防衛医学研究センター 異常環境衛生部門

Quantification of saliva human herpesvirus (HHV-) 6, HHV-7 and deep sleep time as biomarkers for mental and physical stress

Go Suzuki1,4, Kazuhiro Kondo2, Nobuyuki Kobayashi2, Kunio Shimizu3,5, Shoichi Tachibana6

1Military Medicine Research Unit, Test and Evaluation Command, Japan Ground Self Defense Force
2Department of Microbiology, The Jikei University School of Medicine
3Department of Psychiatry, Japan Self Defense Force Central Hospital
4Department of Psychiatry, National Defense Medical College
5Division of Behavior Sciences, National Defense Medical Institute, National Defense Medical College
6Division of Environmental Medicine, National Defense Medical Institute, National Defense Medical College

【はじめに】 ストレス反応を定量化する標準的な方法は現在存在しない。そこで我々は簡便なバイオマーカーによる客観的,効率的メンタルヘルス管理を目的として簡便に検体採取および測定が可能な唾液HHV-6,HHV-7と腕時計型睡眠計による深睡眠時間の評価の有効性を検討した。
 【方法】 55名の身体的精神的負荷のかかる訓練を受けた隊員を対象に訓練前·中·後,また14名の精神的負荷の多い職務の隊員を対象に着任直後より数か月毎に測定を行った。測定項目は疲労感質問紙(VAS法),唾液HHV-6·HHV-7コピー数とした。深睡眠時間測定には体動と脈波測定にて睡眠深度を算出する腕時計型睡眠計(NEM-T1,東芝)を用いた。
 【結果】 身体的精神的負荷により質問紙評価,唾液HHV-6·HHV-7コピー数,深睡眠時間が有意に変化した。精神的負荷による反応は質問紙評価では検知できず,唾液HHV-6コピー数および深睡眠時間にて検知できた。