宇宙航空環境医学 Vol. 48, No. 4, 51, 2011

一般演題 

1. 国際宇宙ステーションの運動機器について

神山 慶人1,大島 博2,山田 深1,2,川島 紫乃3

1宇宙航空研究開発機構 宇宙飛行士健康管理グループ
2宇宙航空研究開発機構 宇宙医学生物学研究室
3株式会社エイ·イー·エス

Exercise devices for International Space Station

Yoshito Kamiyama1, Hiroshi Ohshima2, Shin Yamada1,2, Shino Kawashima3

1Astronaut Medical Operations Group, Japan Aerospace Exploration Agency
2Space Biomedical Research Office, Japan Aerospace Exploration Agency
3Advanced Engineering Service Co., Ltd.

国際宇宙ステーションミッションでは滞在期間が約半年にも及ぶため,ミッションの成功のためには,デコンディショニングによる体力の低下を最小限に抑えることが不可欠である。現在軌道上のクルーはおおよそ週7日,1日あたり2時間30分の運動時間が計画されており,有酸素運動に1時間,抵抗運動に1時間30分が割り当てられている。  有酸素運動ではトレッドミル(Treadmill with Vibration Isolation System;TVIS 及び Treadmill 2;T2)と自転車エルゴメーター(Cycle Elgometer with Vibration Isolation System;CEVIS及びVELO Elgometer)を用い,抵抗運動には改良型抵抗運動装置(Advanced Resistive Exercise Device;ARED)が用いられている。  先日11月22日に古川宇宙飛行士が,6月9日からの167日間に及ぶ国際宇宙ステーションでの滞在を終えて帰還したが,滞在中はARED,CEVIS,T2,を使用した。いずれの運動機器も微小重力環境での使用を前提に開発されたものであり,振動がステーション本体に伝わらないよう様々な工夫が施されている。運用上の課題として,AREDでは負荷が設定通りに記録されない,自動記録機能が適切に作動していないこと,T2では最高速度の制限があったという,いずれもソフトウェアに起因する点,CEVISでは振動制御装置の点検及び交換作業等のメンテナンスに時間を要する点を挙げ,機器の概要とともに紹介した。