宇宙航空環境医学 Vol. 44, No. 4, 132, 2007

シンポジウム

「我が国のドクターヘリの現状と将来像」
S-3. 福岡県におけるドクターヘリ

山下 典雄

久留米大学高度救命救急センター

Doctor-helicopter in Fukuoka

Norio Yamashita

The Emergency and Critical Care Center of Kurume University Hospital

 福岡県におけるドクターヘリ事業は平成14年から開始された。当初は病院間搬送が65%を占めていたが,徐々に現場出動が増加し,平成16年度には現場出動の方が病院間搬送より多くなり,平成18年度には78%を占めるに至った。また,現場出動の80%は外傷である。このような変遷の理由は,一つには毎月の事例検討会において問題点の発掘とその改善につとめて来たこと,またその過程で特に消防機関における理解が深まったこと,一つにはドクターヘリの特性と有効性を実感できたことが考えられる。基地へリポートの地理的特性もあり平成15年度には佐賀県内全域,平成18年度には大分県の西部地域も現場出動の圏内に入った。要請増加に伴い出動中の要請も増加し状況に応じた出動のトリアージ迫られてきた。また,平成18年度から部分的ではあるが運航圏内の高速道路本線上への着陸態勢を整え平成19年6月には態勢整備後では本邦初の本線上着陸に成功した。当県ドクターヘリの特性と展望について検討した。