宇宙航空環境医学 Vol. 44, No. 4, 128, 2007

一般演題

J-2. バーチャルリアリティーを用いたハイブリッドトレーニング装置の開発

吉光 一浩1,松垣 亨1,志波 直人2,永田 見生1

1久留米大学 医学部 整形外科
2久留米大学病院 リハビリテーション部

Development of the Hybrid Exercise System with Virtual Reality

Kazuhiro Yoshimitsu1‚ Toru Matsugaki1‚ Naoto Shiba2‚ Kensei Nagata1

1Department of Orthopaedic Surgery‚ Kurume University School of Medicine
2Division of Rehabilitation‚ Kurume University Hospital

 我々は,自発運動中に拮抗筋を電気刺激して筋収縮を発生させ運動抵抗とし,電気刺激と自発筋収縮の混合運動であるハイブリッド訓練法を開発し,その効果や安全性について報告してきた。しかしながら,電気刺激による筋収縮は経験のある運動課題として実感し難く,使用者によって慣れるまでに時間を要し,目的どおり十分に運動し難い場合がある。そこで今回,訓練の分かりやすさ,効果の向上を目指し,バーチャルリアリティーを用いたハイブリッド訓練装置を開発した。
 現在の装置は,関節の動きを感知するセンサーで電気刺激をコントロールしている。このセンサーの情報をリアルタイムにパソコン上の三次元モデルに反映させる事により,運動状態を視覚的に把握する事が可能である。画面上に模範運動を行う人物モデルを描画し,その動きを参考に運動できるような仕組みも取り入れ,訓練者が自己の運動と対比できるようにした。適切な運動状態を維持させるための補助的な表現手段も取り入れている。また,電気刺激強度を画面上に表現して,運動負荷の大きさも視覚的に捉えることができる。パソコンを用い運動状態の取得,刺激装置の制御を行う事で,任意な非線形な運動モードや,状況に応じた適切な運動負荷を与えることができる。これらによって運動課題を視覚的に確認する事ができ,訓練が適切に行われていたのかなどを,訓練者にフィードバックすることが可能となった。
 今回開発した仕組みにより,ハイブリッド訓練装置は,双方向性の情報交換が可能なバーチャルリアリティー機器としての特徴を持つ事になった。さらに娯楽性や達成感を追加する事により,運動に対するモチベーションの向上が期待できる。