宇宙航空環境医学 Vol. 44, No. 4, 115, 2007

一般演題

G-1. ARV連続測定によるBJ反射モニタリング手法の提案

吉田 豊1,横山 清子2,高田 宗樹3,岩瀬 敏4

1愛知工業大学大学院・経営情報科学研究科
2名古屋市立大学大学院 芸術工学研究科
3岐阜医療科学大学・保健科学部放射線技術学科
4愛知医科大学・医学部第2生理

Proposal of B-J reflection monitoring method by continuous measurement of ARV

Yutaka Yoshida1‚ Kiyoko Yokoyama2‚ Hiroki Takada3‚ Satoshi Iwase4

1Aichi Institute of Technology
2Nagoya City University
3Gifu University of Medical Science
4Aichi Medical University

 宇宙飛行による無重力状態曝露後の地球上への帰還時に,心循環系デコンディショニングの発症が報告されている。この対抗措置として人工重力負荷装置が提案されているが,印加重力が明確ではなく失神を起こす危険性ある。
 本研究では人工重力負荷装置により,段階的に重力を増加(1〜2 G)した時の心拍変動時系列のホワイトノイズの割合を表す指標ARV(Auto Regressive Variability)用いて,失神前のBJ反射(Bezold-Jarisch)誘発を連続モニタリングするためのアルゴリズムの提案を行い,過重力負荷時の失神予測を目的とする。
 提案アルゴリズムは一番古いデータを一つ出して新しいデータを一つ入れるキュー型処理を用い,ARVを約1秒ごとに高速連続算出した。また,BJ反射誘発を連続モニタリングするための閾値の検討も行った。
 人工重力負荷時の失神前時で誘発するBJ反射の推定を行い,その時のARVの変化,ARVの閾値を考察した結果,重力耐性の低い被験者(24例)ではBJ反射誘発と推定される時点でARVが大きくなる結果が得られた。自転車エルゴメータ運動負荷の有無にかかわらずARVの値が0.2以上の場合BJ反射の誘発を推定でき,BJ反射を伴う失神予測に適応できる可能性を得た。