宇宙航空環境医学 Vol. 44, No. 4, 93, 2007

一般演題

A-1. 話声位の周波数分析用の三種類のSpeech Analyzerの使用比較

松波 謙一

中部学院大学リハビリテーション学部理学療法学科

Comparison of three speech analyzers for the use of voice spectroanalysis of Parkinson patients

Kenichi Matunami

Division of Physicotherapy, Faculty of Rehabilitation, Chubugakuin Univ.

 【序論】 声帯筋は運動性構音障害や精神の緊張度を良く反映する。前者に関しては神経疾患における話声位の研究がある(広瀬ら,東大)。後者に関しては飛行機搭乗中の音声変化に関する発表がある(浦野,岐阜大・医)。我々はパーキンソン病(PD)患者に対する音楽療法の効果をみるのに話声位の周波数変化に注目した。理由は,PD患者において,話声の周波数変化の方が運動障害より先に出るといわれ,音楽療法の効果を調べるのに,話声の周波数変化は音楽療法の効果を鋭敏に反映すると考えたからである。只,PD患者の話声の記録は1時間に及び100 MB近い膨大なWAVファイルになるので,これをパソコン(特にノートPC)上で効率的に処理するには,どのようなプログラムを使えばよいかが大問題になる。そこで,一般性に富み大きなファイルに対しても使い易い三種類を選び,その使用方法について比検討したので報告する。
 【方法】 森準教授(宇都宮大・工)の示唆も受け,幾つかのSpeech Analyzerを得た。今回は,使用に耐えると思われたPraat, Wavesurfer(Free Soft)及びSUGI Speech Analyserについて報告する。
 【結果】 結論的には,パーキンソン患者の音声データ(90〜100 MB)をPraatで開き,大きなobject ファイルを作る。これを30秒毎の小さなファイルに切り分けた後,WAVファイル(約5 MB)に一個づつ再変換する。これはステレオ・ファイルなのでモノラルに変換すると2.5 MBになる。これを,SUGI Speech Analyzerで解析する。日本語ソフトであるので,音楽療法士の人も比較的楽に扱える。後は,時間と根気仕事になり,語句の最高値と最高・最低の差を求め,一点一点プロットして話声位の図を作ることが出来る。
 【謝辞】 色々,教えて頂いた森準教授(宇都宮大・工),広瀬肇先生(東大音声言語・名誉教授),及び,データ収録に多大な努力を払われた鵜飼久美子準教授(中部学院大)に厚く御礼申し上げます。