宇宙航空環境医学 Vol. 43, No. 1

研究会報告

追加発言 航空会社における加齢航空機乗組員の現況

大川 康彦

株式会社 日本航空インターナショナル 健康管理室 副主任医師

An experience of over age 60 cockpit crew in Japan Airlines International

Yasuhiko Okawa

Medical Services, Japan Airlines International Co., Ltd., Tokyo, Japan


当社における加齢航空機乗組員の現状について以下の通り報告した。

1. 定年退職者数は,1996年4月より2004年3月までの8年間で556名であり,このうち152名(27%)が付加検査の受検を準備した。
2. 付加検査項目のいずれかで判定基準を満たさなかった不合格者は17名であり,その内訳はトレッドミル負荷心電図異常,脳波異常,頭部CT検査異常などであった。
3. 付加検査に1996年4月より2001年3月までの間に合格した84名の検討では,59名(70%)が3年間の契約期間を満了しえた。中途で契約を終了した25名中,医学的事由による者は5名(6%)であり,その内訳は悪性腫瘍,消化器疾患,眼科疾患であった。
4. 付加検査によるスクリーニング並びに適切な日常健康管理を行うことにより,加齢航空機乗組員の多くは契約終了までの間乗務を継続できた。