宇宙航空環境医学 Vol. 42, No. 4, 2005

一般演題抄録

40. 張力発揮または神経活動がmdxマウス骨格筋の再生機構における役割

寺田 昌弘1,河野 倫史1,藍  勇波1,肥後 葉子2,松岡 由和3,王  暁東1,大平 充宣1,3

1大阪大学医学系研究科
2大阪大学理学部
3大阪大学生命機能研究科

The roles of mechanical or nervous activity on recovery mechanism of skeletal muscle in mdx mice

Masahiro Terada1, Fuminori Kawano1, Yongbo Lan1, Yoko Higo2, Yoshikazu Matsuoka3,
Xian Dong Wang1, Yoshinobu Ohira1,3

1Graduate School of Medicine, Osaka University
2School of science, Osaka University
3Graduate School of Frontier Biosciences, Osaka University

5週齢のmdxおよび野生型マウスをアキレス腱切断(T)群,坐骨神経切断(D)群,T+D群の3群に分けた。左側後肢には以上の処置を施し,右側は正常対照群とした。2週間後,両後肢からヒラメ筋を摘出し,全筋横断面または単一筋線維における解析を行った。mdxマウスの全筋線維数はTによって48%,DおよびT+Dによって31-35% 減少した。このことから,不活動中は筋再生よりも筋壊死が相対的に誘発されたことが示唆された。単一筋線維における筋核の配列パターンも分析したが,TおよびDによって中心核のみを含有する筋線維は認められなくなった。逆に,周辺核のみを有する筋線維は,T群では有意に増加した。DおよびT+D群では,中心核に加え周辺核も含有する筋線維の分布は増加したものの,周辺核のみの筋線維は対照群と同じであった。これらの結果から,筋線維の再生機構には機械的・神経的刺激が重要な役割を演じていることが示唆された。