宇宙航空環境医学 Vol. 42, No. 4, 2005

一般演題抄録

24. 耳石器障害によるめまいの検討

瀬尾  徹1,宮本 篤志2,西田 高也2

1宝塚市立病院耳鼻咽喉科
2兵庫医科大学耳鼻咽喉科

Study for balance problem with otolith disorders

Toru Seo1, Atsushi Miyamoto2, Takaya Nishida2

1Dept. of Otolaryngology, Takarazuka Municipal Hospital
2Dept. of Otolaryngology, Hyogo College of Medicine

【目的】 耳石障害によって引き起こされるめまいについては不明な点が多く,原因不明のめまいとして扱われている可能性がある。前庭誘発筋電位(VEMP)により耳石器能のひとつ球形嚢機能の評価が容易となった。そこで原因不明のめまい患者の症状とVEMPの結果を比較し,球形嚢障害によるめまい感について検討した。
 【対象】 VEMP検査を受けた40歳未満の原因不明のめまい患者18名が対象である。
 【結果】 VEMP異常を示したものは18名中6名であった。症状別には沈み込むような感を訴えた患者では7名中5名が,雲の上を歩くような感を訴えたもの8名中では1名がVEMP異常を示した。体が揺れる感を訴えた3名はいずれもVEMPは正常であった。VEMPが異常であった患者のうち5名はめまいの持続時間は数秒であった。
 【考案】 数秒間持続する沈み込むようなめまい感は,球形嚢の障害に起因する可能性がある。