宇宙航空環境医学 Vol. 42, No. 4, 2005

一般演題抄録

9.　民間航空機乗組員に対する低圧・低酸素訓練の実施と効果についての考察

三浦　靖彦¹，原田　広行¹，原　　志野¹，福本　正勝¹，津久井一平¹，羽部　　仁²，大橋幸一郎²，
赤松　知光²

¹(財) 航空医学研究センター
²航空自衛隊　航空医学実験隊

Decompression and hypoxia training for civil aviator

Yasuhiko Miura¹, Hiroyuki Harada¹, Shino Hara¹, Masakatsu Fukumoto¹, Ippei Tsukui¹, Hitoshi Habu², Koichiro Ohashi², Tomomitsu Akamatsu²

¹Japan Aeromedical Research Center
²Japan Air Self Defense Force

【目的】　低圧・低酸素訓練の必要性は認識されているが，わが国の民間航空の航空機乗組員（以下，民間パイロット）の場合，訓練の実施が困難であった。そこで，航空医学実験隊の協力を得て，民間パイロットに対して低圧・低酸素訓練を実施し，訓練の成果及び必要性についてアンケート調査を実施した。
　【方法】　実験施設は航空自衛隊立川分屯基地内の低圧チャンバーを使用した。訓練内容は，航空自衛隊飛行訓練生に実施される�U型飛行訓練及び急減圧飛行訓練とした。
対象: 民間パイロットの被験者は，航空医学研究センターへのポスター掲示，ホームページおよびPilot誌への掲載により募集した。計54名の希望者から　28名に訓練を実施した。
　【結果】　2004年11月16日および2005年8月4日の二回に分けて実施した。
アンケート結果から，座学で学び，想像していたものとは全く異なり，非常に参考になったとの回答が26名から得られ，今後も同様の訓練を実施して欲しいという意見等，肯定的な意見が多数寄せられた。
　【結論】　民間パイロットに対する低圧・低酸素訓練は非常に有意義であることが立証された。今後も関係各所との連携を図りながら，同訓練の実施，教育活動を展開したい。