症例報告

サイトメガロウイルス肺炎を伴う抗ARS抗体陽性間質性肺炎の一剖検例

藤田　彩人¹　　　上野　智代¹　　　小野　ゆり¹
並木　眞生¹　　　土谷　良樹²　　　下　　正宗¹

（¹東京勤労者医療会東葛病院病理診断科，²同　総合診療科）

要旨: 80代女性。筋力低下と肺炎にて入院。抗EJ抗体，抗Ro52抗体陽性より抗ARS抗体陽性間質性肺炎（ARS-IP）の急性増悪が疑われ，免疫抑制療法を行ったが死亡し剖検となった。組織学的にはCMV肺炎を伴う亜急性増殖期主体のびまん性肺胞傷害がみられ，背景にはARS-IPとして矛盾しない非特異性間質性肺炎パターンを認めた。CMV感染は他臓器にも認めた。入院以前からのリンパ球減少がCMV再活性化の引き金となったと考えられた。リンパ球減少は予後の悪い抗ARS抗体陽性者を拾い上げる可能性があり注目に値する。

キーワード:lung, anti-aminoacyl tRNA synthetase antibody, cytomegalovirus, autopsy

An autopsy case of anti-ARS antibody positive interstitial pneumonia with CMV pneumonia

Ayato Fujita¹, Tomoyo Ueno¹, Yuri Ono¹, Masao Namiki¹, Yoshiki Tuchiya², and Masamune Shimo¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ²General Practice, Tokatsu Hospital

（論文受付:2023年 8月20日）

（採用決定:2023年11月24日）