症例報告

示指に発生した血管内乳頭状内皮過形成の1例

杉山　美緒¹　　　杉浦真理子¹　　　中野さつき¹
藤井慶一郎¹　　　正木　彩子¹　　　村瀬　貴幸¹
稲垣　　宏¹　　　山田　　聡²

（¹名古屋市立大学院医学研究科臨床病態病理学，²知多厚生病院整形外科）

要旨: 症例は50歳代女性。右示指軟部の血管性病変が疑われ，切除術が行われた。組織学的に乳頭状増生，分枝吻合する血管腔，腫大した内皮細胞が認められたため，血管肉腫との鑑別を要したが，病変が血管内に限局していたため，血管内乳頭状内皮細胞過形成と診断した。血管肉腫にしばしばみられるMYC蛋白過剰発現は，本症例で陽性であった。これまで血管内乳頭状内皮細胞過形成で検討した報告はない。血管内乳頭状内皮細胞過形成においてMYC蛋白過剰発現がみられることを認識することは，本病変を診断する上で重要と思われた。

キーワード:index finger, intravascular papillary endothelial hyperplasia, soft tissue, angiosarcoma, MYC

Intravascular papillary endothelial hyperplasia of the index finger

Mio Sugiyama¹, Mariko Sugiura¹, Satsuki Nakano¹, Keiichiro Fujii¹, Ayako Masaki¹, Takayuki Murase¹, Hiroshi Inagaki¹, and Satoshi Yamada²

¹Department of Pathology and Molecular Diagnostics, Postgraduate School of Medical Sciences, Nagoya City University
²Department of Orthopedics, Chita Kosei Hospital

（論文受付:2023年 7月20日）

（採用決定:2023年10月23日）