症例報告

中皮腫様進展を示した脱分化脂肪肉腫の1剖検例

目黒　啓予¹　　　小林　靖幸²　　　喜古雄一郎²
馬目　雅彦²　　　橋本　優子²

（¹福島県立医科大学附属病院病理部，²福島県立医科大学医学部病理病態診断学講座，
³公立相馬総合病院泌尿器科）

要旨: 70歳代男性。右鼠径部腫瘤及び高位精巣摘出術が施行され筋線維肉腫と診断された。局所再発・肺転移があり術後7ケ月で永眠された。死後46時間で剖検され右鼠径〜後腹膜に及ぶ腫瘍と肺内結節，両側胸膜びまん性肥厚を示す中皮腫様病変を認めた。鼠径部腫瘍（手術・剖検）と胸膜腫瘍はFISH法でMDM2遺伝子増幅を認め脱分化脂肪肉腫と診断した。右鼠径〜後腹膜，胸腔に進展した脱分化脂肪肉腫を経験した。中皮腫様進展を示す脂肪肉腫は初めての報告である。死後2日の剖検検体でも診断確定にFISH法が有用であった。

キーワード:pleura, dedifferentiated liposarcoma, methothelioma, autopsy case

Pleural dedifferentiated liposarcoma, spreading like mesothelioma;An Autopsy Case Report

Hiroyo Meguro¹, Yasuyuki Kobayashi², Yuichiro Kiko², Masahiko Manome³, and Yuko Hashimoto²

¹Department of Pathology, Fukushima Medical University Hospital
²Department of Diagnostic Pathology, Fukushima Medical University
³Department of Urology, Soma General Hospital

（論文受付:2023年 7月24日）

（採用決定:2023年10月 7日）