症例報告

多形を示した粘液型脂肪肉腫の1例

西嶋　稜平¹　　　山田　洋介¹　　　喜多村恭平¹
南口早智子¹　　　坂本　昭夫²　　　久岡　正典³
羽賀　博典¹

（¹京都大学医学部附属病院病理診断科，²同　整形外科，
³産業医科大学医学部第1病理学）

要旨: 粘液型脂肪肉腫は，組織学的に樹枝状の血管を含む粘液性間質を背景に異型に乏しい卵円形細胞・脂肪芽細胞が増殖する像を示し，ほぼ全例がFUS::DDIT3融合遺伝子を有する。この腫瘍はときに円形細胞型脂肪肉腫に進展することが知られる一方で，多形肉腫様形態を呈しうることは十分に認知されていない。我々は30代女性の大腿に生じ，広範な壊死とともに多形の目立つ細胞を混在した粘液型脂肪肉腫を経験した。粘液型脂肪肉腫が示す組織学的多彩性を象徴する1例と考えられる。

キーワード:Soft tissue, myxoid liposarcoma, pleomorphic histology, FUS::DDIT3

A case of myxoid liposarcoma with prominent pleomorphic histology

Ryohei Nishijima¹, Yosuke Yamada¹, Kyohei Kitamura¹, Sachiko Minamiguchi¹, Akio Sakamoto², Masanori Hisaoka³, and Hironori Haga¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ²Orthopaedic Surgery, Kyoto University Hospital, Kyoto
³Department of Pathology and Oncology School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health

（論文受付:2023年 7月25日）

（採用決定:2023年 9月22日）