総　　説

原発不明癌の病理診断と治療

都築　豊徳¹　　　小川　裕也²　　　山口　勝己³

（¹愛知医科大学医学部病理診断学講座，²小野薬品工業株式会社メディカルアフェアーズ統括部，
³ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社メディカル部門）

要旨: 原発不明癌は十分な検索にもかかわらず原発巣が不明で組織学的に転移巣と判明している悪性腫瘍であり，一般的には予後不良である。原発巣の同定には病理学的検索が有用であり病理医の役割は極めて重要であるが，転移性という性質から病理診断の難易度は高い。近年，遺伝子パネル検査の導入や新たな治療選択肢の登場など，原発不明癌診療にも進歩がみられつつある。患者の治療機会を逃さないために臨床医とコミュニケーションをとりながら，一定期間で診断に区切りをつける必要があることを病理医も心得ておかねばならない。

キーワード:cancer of unknown primary, diagnosis, immunohistochemistry, primary tumor site detection

Pathological Diagnosis and treatment of Cancer of Unknown Primary

Toyonori Tsuzuki¹, Yuya Ogawa², and Katsumi Yamaguchi³

¹Department of Diagnostic Surgical Pathology, Aichi Medical University School of Medicine
²Medical affairs, Ono Pharmaceutical Co., Ltd.
³Oncology Medical, Bristol-Myers Squibb K.K.

（論文受付:2023年10月27日）

（採用決定:2023年11月13日）