総　　説

リンパ腫分類の変遷とWHO分類第5版

加留部謙之輔^1,2

（¹名古屋大学医学大学院系研究科臓器病態診断学，²名古屋大学医学部附属病院病理部）

要旨: 悪性リンパ腫の分類は2017年に発表されたWHO分類改訂第4版（WHO-4R）が使われてきたが，2023年，悪性リンパ腫を含む造血器腫瘍の新しい分類としてWHO分類第5版（WHO-5）とInternational consensus classification（ICC）分類が発表された。2つの分類が並立する状況は診断現場に混乱をもたらすかもしれないが，1970-1980年代における分類乱立の時代とは異なり，両者ともに“疾患概念のリスト化”を行なった点ではコンセプトは共通している。本論文では，これまでのリンパ腫分類の歴史を振り返った上でWHO-5とICCの共通点と相違点について主なものを紹介し，WHO-5で新たに紹介されたessential criteriaとdesirable criteriaの意義，およびこれら新分類の診断現場での活用法について論じる。

キーワード:Lymph node, malignant lymphoma, WHO classification, International consensus classification

Change of the classification of malignant lymphoma and the 5th edition of WHO classification

Kennosuke Karube^1,2

¹Department of Pathology and Laboratory Medicine, ²Graduate School of Medicine, Nagoya University

（論文受付:2023年6月20日）

（採用決定:2023年6月28日）