症例報告

隆起性病変として発見された正中菱形舌炎の2例
── 免疫染色による検討を含む ──

中島　　啓¹　　國分　克寿¹　　吉田　秀児²
鳥山　　茜³　　泉　　　浩^3,4　　肥後隆三郎⁵
��野　正行²　　冨田　茂樹³　　松坂　賢一¹

（¹東京歯科大学　病理学講座，²同　口腔顎顔面外科学講座，
³順天堂大学医学部附属浦安病院　病理診断科，⁴順天堂大学医療科学部　臨床検査学科，
⁵順天堂大学医学部附属浦安病院　耳鼻咽喉科）

要旨: 隆起性形態を呈した正中菱形舌炎の2例を報告する。症例1は40代の男性，症例2は50代の男性である。両症例ともに上皮脚の延長を伴う粘膜上皮の肥厚が認められ，上皮下にはリンパ球主体の炎症性細胞浸潤が観察された。上皮錯角化層にはカンジダ仮性菌糸が認められ，好中球が散見された。舌背病変の臨床的な所見を併せて，正中菱形舌炎に相当する像と判断した。正中菱形舌炎は，組織学的に偽腫瘍様の上皮過形成を伴うことも多く，扁平上皮癌との鑑別に留意する必要がある疾患である。

キーワード:Tongue, Glossitis, Candida, Mycosis

Two cases of median rhomboid glossitis presenting as a protruded lesion

Kei Nakajima¹, Katsutoshi Kokubun¹, Shuji Yoshida², Akane Toriyama³, Hiroshi Izumi^3,4, Ryuzaburo Higo⁵, Masayuki Takano², Shigeki Tomita³, and Kenichi Matsuzaka¹

Departments of ¹Pathology and ²Oral and Maxillofacial Surgery, Tokyo Dental College
Departments of ³Pathology and ⁵Otorhinolaryngology, Juntendo Urayasu Hospital
⁴Department of Medical Engineering and Technology, Juntendo University

（論文受付:2022年7月26日）

（採用決定:2023年2月25日）