症例報告

著明な嚢胞形成を示した滑膜肉腫の1例

森　　正暁¹　　小山　雄三²　　近藤　嘉彦²
草場　敬浩²　　川村　和弘²　　大地　克樹³
西田　陽登²　　田仲　和宏⁴　　駄阿　　勉²

（¹大分大学医学部医学科，²同　診断病理学講座，³同　放射線医学講座，⁴同　整形外科学教室）

要旨: 滑膜肉腫において稀ではあるが広範に嚢胞形成を示すことがある。症例は67歳女性で，左肘屈側の腫瘤と痛みを主訴に来院した。臨床的には血管腫が考えられ，MRIでは造影効果を伴う多房性嚢胞性腫瘤で悪性の軟部腫瘍が考えられた。組織学的に腫瘍は紡錘形細胞成分と上皮成分からなり，2相性を有していた。免疫染色で腫瘍細胞はEMA，CD99，TLE1陽性，INI1減弱，抗SSX-SS18抗体陰性，SSX-C末端抗体陽性であった。RT-PCR法でSS18-SSX2融合遺伝子を検出した。嚢胞形成を示す腫瘍を認めた場合，滑膜肉腫も鑑別疾患の一つとして挙げるべきである。

キーワード:soft tissue, synovial sarcoma, cyst, SS18-SSX

A case of synovial sarcoma which shows prominent cyst formation

Masaaki Mori¹, Yuzo Oyama², Yoshihiko Kondou², Takahiro Kusaba², Kazuhiro Kawamura², Katsuki Oji³, Haruto Nishida², Kazuhiro Tanaka⁴, and Tsutomu Daa²

¹School of Medicine and Departments of ²Diagnostic Pathology, ³Radiology, and ⁴Orthopaedic Surgery, Oita University

（論文受付:2022年10月7日）

（採用決定:2023年1月11日）