総　　説

エナメル上皮腫，エナメル上皮癌とadenoid ameloblastoma

松本　直行

（鶴見大学歯学部病理学講座）

要旨: 歯原性腫瘍は歯の発生過程で生じる組織に由来する。顎骨には様々な歯原性腫瘍が発生し，その大部分の症例は良性腫瘍であるが，周囲組織を含めた切除を要す組織型がある事から，注意深い診断が求められる。本稿では歯原性腫瘍のうち最も発生頻度が高く，さらに局所侵襲性を示すエナメル上皮腫および各サブタイプと，その悪性型であるエナメル上皮癌について概説し，さらに新たな疾患概念であるadenoid ameloblastomaを紹介する。

キーワード:jaw bone, ameloblastoma, ameloblastic carcinoma, adenoid ameloblastoma, genetic profiles

Ameloblastomas, ameloblastic carcinoma and adenoid ameloblastoma

Naoyuki Matsumoto

Tsurumi University School of Dental Medicine

（論文受付:2022年5月9日）

（採用決定:2023年3月10日）