総　　説

尿細管内円柱からみる腎生検病理診断

原　　重雄

（神戸市立医療センター中央市民病院　病理診断科）

要旨: 尿細管内円柱は構成成分であるTamm Horsfall蛋白（THP）に様々な物質が結合することで形成され，糸球体病変や他疾患を反映する所見ともいえる。最もよくみられる硝子円柱のほか，糸球体係蹄基底膜の断裂とボウマン腔出血に起因する赤血球円柱，リンパ腫や形質細胞性腫瘍に関連した単クローン性軽鎖による軽鎖円柱，ヘム蛋白（ミオグロビン，ヘモグロビン）に関連した円柱，炎症細胞が主体の白血球円柱，高ビリルビン血症に伴う胆汁円柱などに分類できる。それぞれの円柱にみられる多彩な所見は，腎生検病理診断において病態を横断的に理解することの助けになりうる。

キーワード:hyaline cast, Tamm Horsfall protein, uromodulin

A practical approach to the pathology of renal intratubular casts

Shigeo Hara

Department of Diagnostic Pathology, Kobe City Medical Center General Hospital

（論文受付:2023年1月9日）

（採用決定:2023年1月23日）