総　　説

甲状腺腫瘍の分子病理学
─ 新WHO分類を読み解く8つのポイント

千葉　知宏

（がん研究会　がん研究所　病理部）

要旨: 分化型甲状腺癌の大規模なゲノム解析の結果が蓄積され，甲状腺癌においてゲノム情報の重要性が高まっている。2022年，内分泌・神経内分泌腫瘍の新しいWHO分類第5版（WHO5版）が発表された。分子遺伝学的な背景に従い，WHO5版では分類体系が抜本的に見直され，腫瘍細胞の起源と悪性度から系統的に分類されるに至った。本稿では，WHO5版改訂の8つのポイントを概説する。

キーワード:thyroid cancer, genomic alterations, pathological diagnosis, WHO classification

Molecular pathology of the thyroid neoplasms─an overview of the 5^th edition of the WHO classification of endocrine and neuroendocrine tumours

Tomohiro Chiba

Division of Pathology, Cancer Institute

（論文受付:2023年1月9日）

（採用決定:2023年1月16日）